正統占星術

☆ようこそピカトリクスへ
 ここは占星術譚を語るブログです。筆者は、日本唯一の正統占星術の伝道師、サエル(冴える)です。
 人生は短く、技術は長い - ヒポクラテス
 少年老い易く学成り難し - 作者不明?

 現在月のリアルタイム位置すなわち月のトランジット(t月)はうおサインです。うおサインの月の品位ないし品格は、a stranger(流れ者、異邦人)の状態です。放浪中の身らしく気の向くままに語るブログです。ただ伝道は木星的な仕事です。うおサインを管理するt木星はやぎサインを運行中です。やぎは現実的な地のサインなのでこのブログには建設的な面もあります。

 "As above, so below (, as within, so without, as the universe, so the soul)." - ヘルメス・トリスメギストス。

 占星術、astrologyは、象徴哲学体系の最高峰(I believe)であり、As above so belowシステムです。ヘルメスは正統占星術の伝説的な開祖です。この箴言アフォリズム)の解釈は無限、運命の輪、α&Ω。両極性(polarity)の原理を示唆しているとも言えましょう。α的なセクトから始まってライツ、アングルズ、吉凶、東西、hot & coldなど、この原理はΩ的に続きます。この地上の大概の事象は、占星術的な両極性の原理で解釈が可能です。業界用語で言うならrationalization(訳するなら理屈付け、後付け?) できます。周知のように占星術は後付けのためのおそらくは最良の体系です。占星術は後付け-予測の両極性の原理を有します。

☆正統占星術
 一般に占星術の部門は、マンデン、ネイタル(nativity)、イレクショナル、ホラリーの四つに大別できます。このブログでは主としてネイタル占星術を扱います。
 占星術には多くの流派(school)があります。当ブログのテーマである正統占星術は以下のようなゾーンを含みます。
 ホロスコピック占星術、古典古代の占星術、ヘレニスティック占星術、伝統的占星術、ペルシア系アラビア占星術、中世イスラム占星術、17世紀英国の占星術、21世紀のモダン占星術、宝石占星術、マジカル占星術など、総称して正統占星術
 正統占星術は、紀元前2世紀にアレクサンドリア辺りで突然変異的に?“発明”されたホロスコピック占星術が源泉です。正統占星術は歴史上何度(4度?)も絶滅しそうになりました。しかし先人達(オーソリティーズ)の努力により21世紀までかろうじて命脈をつないできました。先達の努力で21世紀まで伝承されてきた源泉度が濃い占星術、それが正統占星術です。
 正統占星術は日本にはほとんど導入されていません。20世紀、昭和&平成の日本の価値観になじまなかったからでしょう。1979年(&1985年復刻)刊の糸川英夫博士の「細密占星術」は、ごくわずかながら正統占星術的なテクニックを含んでいました。その程度ですら日本人には受け入れられず定着しませんでした。その後日本で流行ったのは別の流儀の占星術です。しかし代表的社会天体である土星(cold)が21世紀になって初めてやぎサイン(cold & dry)入りし、やぎ運行中に改元され令和になりました。令和の公式的意味合いはさておき、占星術的には、土星(old例えば古代、時代) in やぎ、整理整頓の意味合いを有します。やぎは実利の地のサインかつconvertible(改造できる)サインでもあります。令和の令は月令の令でもあります。月令は暦の一種であり暦のバックボーン(骨、やぎの象意)は天体の運行です。古典古代を起源とする正統占星術が必要とされる時代が日本にも到来したようです。少なくともサエルがブログを始めるぐらいには。当ブログの目的は、正統占星術の日本への本格的導入にあります。

☆正統占星術と冴える
 現代の日本的価値観とは異質な正統占星術に取り組むには、to be cleaned, to be cold、冴える必要があります。19世紀の神秘思想や20世紀の人道主義それ自体は歴史的な価値があります。しかし占星術の仕組みそのものは19世紀の神秘思想や20世紀の人道主義とは関連が薄い“神ってる”先達が作ったものです。そういう冴えた(冷めた)認識を持てる頭脳を使わないと正統占星術は扱うことができません。
 正統占星術には多くの特徴があり、ありすぎて整理整頓が困難という問題点があります。いわゆる令和のイヴェントチャートでは、土星やぎ20度と水星おひつじ19度が1度差のスクエア(□)です。しかも水星はアプライ(近づく)です。激動&創業の昭和、スリーピー&守成な平成を経験して整理整頓の麗しい令和の時代を迎えたものの、それはハードな試練、整理整頓が困難(□)であることを象徴しています。念のため付言しますと占星術は水星が象徴します。

☆本邦初公開、占星術のテクニックリスト
 正統占星術の技術的な特徴(チャート読みの戦術)をブログ開設記念として敢えてあげるなら次の10項です。これらの知見は断片的には日本でも知られているかもしれません。しか10項まとめて公開するのは本邦初の試みです。但しこの10項はいわゆるネイタル占星術において、です。なお項番-1と0は10項のうちに含みません。

 -1 人生は短く技術は長い。チャートはツール。その大きな目的は第1ハウスマターである生存です。本ブログではこの問題(マター)をサヴァイヴァルと呼ぶことにします。
 0 天体、サイン、ハウス&アスペクト(プラネタリーリレイションシップ)が技術コンセプトの4点セット、テクニック四天王。大概の占星術のテクニックはこの四天王の組み合わせです。具体的には下記10項を参照願います。

 1 土星までの伝統的な7天体を使用。月のノード、すなわちヘッド&テイルは使います。
 2 吉凶重視。特に天体とハウスの吉凶を重視します。
 3 セクト。これは吉凶を決める一つの要素です。そして最優先に検討すべき項です。
 4 エセンシャルディグニティズ(品位、品格、位階)。エセンシャル(essential)は、欠くことのできない、必須のという意味ですから文字通りチャートを読むには必須のクラス分けです。どれだけ時代が進んでも位階的なものに影響を受けるのが人間です。伝統的なルーラーシップを使います。ルーラーシップは非常に重要です。伝統派であれモダン派であれ、日本ではこの重要性の理解がまだまだ足らないと言えます。
 5 ハウス分割は、サイン-ハウス方式。Whole sign housesないしwhole signs(全体サイン)を使います。
 6 アスペクトはサインに基づくものが基本。アスペクトしないアヴァージョンも重視します。
 7 アングル重視。アドヴァンシング(な天体)重視。
 8 予測テクニック重視。特にタイムロード重視。その基礎となるのはプロフェクションです。
 9 ロッツ。恒星も使いますけれどロッツのほうが重要です。なおマンデンでは恒星を重視します。
 10 気質計算。一説によると気質判断は、占星術のデリニエイション(描写または叙述、いわゆる鑑定)の基礎(basic)ないし鍵(key)だとのこと。そうかもしれません。しかし言うは易く行うは難し。非常にややこしい話しなので当ブログで本格的に取り上げるかは未定です。当店が得意とする宝石占星術やマジカル占星術では気質計算は必須のテクニックです。ちなみに当店ではリリー式の計算方法は採用していません。

 特に優先的な重要度を持つのが1~5です。入門から初級レベルまでであってもこれを使わない占星術は正統占星術とは言えません。
 中級への進級を目指すなら6以降も重要です。特に6&7、ついで8。たとえば6のアスペクト。光線照射(striking with a ray、光線打ち、光線攻撃?)なるテクニックを重視します。しかし、こんなの日本の占星術界隈では聞いたことがないと思います。ウルトラマンウルトラセブンの例をみてわかるとおり、光線攻撃?は必殺のテクニックです。アスペクトは見る(目撃ないし注視)という意味ですから実によくできた話しです。ただアスペクトのテクニックは重要度はトップクラスかもしれませんけれど優先度はあまり高くありません。その前に検討しなければならないことがあります。

☆正統占星術事始め
 当ブログではマレフィックス(凶星)が管理するトピックスも取り上げる予定です。しかし先ずはベネフィック(吉星)の金星的トピックから出発したいと思います。よいこと、goodは金星が管理する事項です。コンセプションすなわち思考や構想を示すt月は、現在うおサイン9度です。うおサイン9度では、金星は、イグザルテイション、昼のトリプリシティ&バウンド(ターム)のディグニティズを持ちます。金星的トピックから始めるのでなければ占星術はインチキであることになります。

 英語の最良の言葉、「ミュージカルコメディ」。ブロードウェイミュージカル、42nd streetの名セリフ。

 42ndストリートは某動画投稿サイトで全編視聴可能です。ミュージカルコメディは金星が象徴します。
 上述したように正統占星術の一つの特徴は吉凶の区別を大切にすることです。吉と凶を取り違えたのでは、チャートを立てる筆頭の目的である生(き延び)ること、サヴァイヴァルは覚束なくなります。病気、死、恐怖、テロ、敵、裏切り、拘束、逮捕、幽閉、犯罪、殺人、これらは凶です。世の中、凶事にはことかきません。一方で、楽しいこと、美しいこと、嬉しいことなどは吉です。吉事をつかさどる吉星(ベネフィックス)は木星と金星です。木星は、宗教、法律、司法などを象徴します。これ(木星)があるから社会は吉を楽しむ余裕ができます。しかしいわゆる社会天体の一つである木星の管理事項は、ここで語るにはあまり適さない話題のようです。高潔(high-minded)すぎます。代表的個人天体である金星は、女優、芸能、音楽、美術、コメディなどを象徴します。ブログで語るにはもってこい?

☆まずはセクトから
 正統占星術で最初に検討すべきテクニックは、チャートおよび天体のナイト&デイ、昼か夜かです。デイチャート(昼チャート)は地平線の上側に太陽があるチャートです。ナイトチャート(夜チャート)はその逆です。太陽が東から昇り西に没する動きは生死の両極性を象徴するものですし、昼夜の別は大概の人が実感できることですから、セクトは両極性の原理および占星術システム(as above so below システム)の出発点です。
 昼天体 太陽、木星土星、太陽よりも先に上昇するオリエンタルな(若い)水星
 夜天体  月、金星、火星、太陽よりも後に没するオクシデンタルな(老いた)水星
 ゴージャス!バランスの取れた美しいコーディネイト、配置です。少なくとも中級レベル、望ましくは上級レベルまでは天王星海王星を使わない多くの理由のうちの一つがセクトです。天王星海王星は昼天体なのか夜天体なのか不明ですし、両者とも多分マレフィックなので占星術システムのバランスが崩れてしまいます。As aboveなのにso belowとはならなくなります。

 金星関連のクイズ。1930年代から1980年代の60年間において、米国大衆に人気があった女優(♀)のトップ3は誰でしょうか?
 次の7名から3名選びなさい。
 人気女優トップ7:マリー・ドレスラー、シャーリー・テンプルベティ・グレイブルドリス・デイエリザベス・テイラー、ジュリー・アンドリューズ、バーブラ・ストライサンド

 ドレスラーとテイラー以外の5人は歌手(金星)でもあります。なおハリウッド史上屈指の人気女優ジュリア・ロバーツを忘れたわけではありません。後で述べます。

 正答例 :比類なき史上最大の超人気子役シャーリー・テンプル。1940年代の稼ぎ頭、百万ドルの脚線美ベティ・グレイブル。太陽のように輝いているドリス・デイ。上記7名のうちならこの3名で異論ないでしょう?
 1980年代までならこの3名です。90年代まで視野に入れると、グレイブルのかわりにジュリア・ロバーツを入れるべきかもしれません。
 映画俳優の人気を評価する信用度が高い一つの指標が1912年から2013年までのデータ蓄積がある top ten money making stars poll です。特に1932年から1997年までは継続して毎年top 25が発表されていますからこの期間のデータは信用度が高いと言えます。
 この投票によると1932年から1991年まで60年間の人気女優top 7は上記7人です。
1990年代と2000年代に最も人気があった女優はジュリア・ロバーツ、夜生まれです。その根強い人気は往年のドリス・デイに匹敵する(超える?)ほどでした。余談ながら、ロバーツの主演映画1997年公開「ベスト・フレンズ・ウェディング」でドリス・デイ(&ロック・ハドソンみたいなエクストラバガンザ)に言及していますけれど意図的かもしれません。当時のロバーツはドリス・デイ以来の大人気女優でした。

 

 
 以下ランキングの順位は1932年から1991年までの期間限定の話しです。
 4年連続1位はテンプルだけです。1位4回はテンプルとデイだけです。Top 10ランク入り最多回数はグレイブル、デイ&ストライサンドの3人が10回です。テイラーが9回。Top 25ランク入り回数は、グレイブルが12年連続で12回、デイが18年連続で18回、テイラーが14年連続14回、ストライサンドが12年連続を含む14回。ストライサンドは1位になったことがなくtop 3には2回しか入っていません。トップ3ランク入り回数は次のようになっています。テンプルは1位4回を含む4回。グレイブルは1位1回を含む4回。テイラーは1位1回を含む3回、デイは1位4回を含む6回。
 以上鑑みて、当ブログ認定の人気トップ3の女優は、1位4回以上または3年連続1位(テンプルとデイ)、トップ10ランク入り10回以上(グレイブル、デイ&ストライサンド)、トップ25ランク入り15回以上(デイ)、1位を取ったことがありトップ3ランク入り4回以上(テンプル、グレイブル&デイ)のうち2項目以上を満たすこと、としました。すなわち、シャーリー・テンプルベティ・グレイブルドリス・デイの3人です。3人とも金星はデトリメント(損傷)です。実はテイラーもデトリメント、人気者はつらい?
 テンプルとグレイブルは、金星がより吉度を増すナイトチャート。太陽に譬えられることが多く、ときには太陽よりも輝いていると評されるデイは、名前の通りデイチャートです。このようにセクトは当たります!?
グレイブルは夜生まれでナイトチャート、セクトライトは月です。グレイブルの出演した最良のミュージカルコメディの一つが1943年公開の「マイアミの月」です。グレイブルが夜生まれであることを示唆しています。
 ロバーツまで含めてもドリス・デイ以外の7人は全員金星が本領を発揮しやすい夜生まれです。セクトなしにチャート読むのは困難です。ドリス・デイの人気は他の7人とは異質なものがあるのでしょう。1953年公開の「カラミティ・ジェーン」をみるとそれがわかるかもしれません。人気絶頂だった1963年公開の「スリルのすべて」でもよいかも。あるいは川本三郎さんの著書「ハリウッドの神話学」のドリス・デイのページを読むとわかるかもしれません。8人のうち、さんさんと降り注ぐ太陽、つまり放射する一方だけの昼生まれなのはデイだけです。ある意味、反省の必要がない人なのでしょう。リリーは太陽に愚か(foolish)という意味を与えています、さすがです。ドリス・デイには、いまだに“Doris Day freak”なファンが少なからずいます、太陽だけに。つまり第9ハウス的な熱狂的なファンが、第9ハウスは太陽神のハウスです。
 ちなみにエセンシャルディグニティズも当たります。容易に想像つくようにドリス・デイは太陽おひつじです。どうしてかとういうと太陽はおひつじのサインでイグザルテイション(昂進、高揚)となるからです。秩序を管理したりゲスト歓迎したりする役目のサインルーラのイメージではなく、気楽な女王、栄誉あるゲスト、高品質、尊敬というイメージがイグザルテイションです。さらにちなみにドリス・デイの太陽はいわゆるヘイズ(適所)です。セクト的には最良の太陽です。太陽と言えばドリス・デイドリス・デイと言えば太陽、ときにはドリス・デイは太陽よりも輝いていると評されることすらあります。ずいぶん前1970年?にドリス・デイのテレビシリーズ「ドリスデイショウ」を日本の放送局が放映したことがありました。そのときのタイトルが「ママは太陽」、占星術の法則はちゃんとこの地上(放送)に反映されています。
 なお日本人にはあまりなじみがない?ドレスラーは歌手ではないけれどコメディアンです。1932年と1933年、60歳代にしてハリウッドの人気トップスターでした。米国の大衆は音楽(金星)とコメディ(金星)が大好き(金星)なのでしょう。占星術が筋目正しく機能していることがわかると思います。
 ところで、ロバーツまで入れて8人の人気女優のうちドリス・デイだけが昼生まれ、名前がデイだからと言っておかしいのではないか?、女優なのだから金星に特徴があるはずなのでは?。そう思った方、冴えています。太陽も人気に関連します。しかし政治家ならともかく女優はやはり金星が大切です。従来の占星術はこういう疑問を解決する手段を持っていません。人それぞれということになってしまい勝ちです。答えを言ってしまうと、ドリス・デイの金星はイヴニングスター、宵の明星だからです。昼生まれの金星の弱点はこれでほぼ帳消しです。これぞドリス・デイ・マジック。ドリス・デイの代表曲の一つが”It’s magic”です。

 

It's Magic, Doris Day: Her Early Years At Warner Bros.

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  • 発売日: 2016/04/23
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