セクト(例題:シャーリー・テンプル)

セクト:aboveが昼、belowが夜
 前々回3月22日のエッセイではハリウッド史上人気トップ3の女優を選定しました。シャーリー・テンプル(1928-2014)、ベティ・グレイブル(1916-1973)&ドリス・デイ(1922-2019)です。3人ともミュージカルコメディ(♀)ができる点が共通しています。特にグレイブルとデイは非MGMの古典的ミュージカル映画に何本も出ています。
 この3人のうちの一人、グレイブルは夜生まれで、セクトライトは月であり、それゆえに「マイアミの月」なる主演映画があります。マイアミを象徴するサインは、てんびんまたはししだとされています。グレイブルの月はてんびんサインです。As above, so below の原理はどこまでも貫徹します。
 セクトは最優先のテクニックです。チャートを読む前提です。ハードでなければ生きていけなかった古代において、自分が属すべきセクト(党派、派閥)を知る、徒党を組むことが生き延びる(≒チャートを読む)前提であったからです。徒党を組む、セクショナリズムは生きる人間のさが(性)です。誕生図(birth chart)の誕の字は延が旁(つくり)となっています。まさに生き“誕”びるための図です。しかしセクトは最強力なテクニックというわけではありません。
 ドリス・デイは昼生まれです。しかし「On moonlight bay」、「By the light of the silvery moon」に主演しています。昼生まれとはいえ、月ふたご 合 MCふたご なので当然です。セクト外の天体は違和感、ミスキャスト感を惹起しますけれど、セクトよりもアングルのほうがイヴェントを起こす力は強い。一般にチャートで最も強力な点はアングルです。パーソナル度が最も高い点なので。

シャーリー・テンプル
 夜生まれの逆行土星が第一ハウス、難問のチャートです。
 テンプル初期の代表作が1934年の Bright eyes です。この映画でハリウッドのトップスターになりました。この映画、芸達者な子役 Jane Withers(1926年~)も出ているのでお得な映画です。優等生的なシャーリー・テンプルを“一発撮り”と評したのは1937年、ジョン・フォード監督らしい。しかし一発撮りの元祖的子役は、Withers かもしれません。One-take Withersのニックネイムを彼女が頂戴したのが1936年の映画、Can this be dixie? だとされています。
Bright eyesは某動画投稿サイトにて無料で全編視聴できます。Can this be dixie? は某動画投稿サイトでクリップを視聴できます。Withersは見事なタップダンスを披露しています。

 シャーリー・テンプルの誕生図。夜チャート、Rodden rating AA。ASCいて5度16分。

 

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 astro.comでチャートを見たい方はこのURLをご利用願います。
https://www.astro.com/cgi/chart.cgi?wgid=wgeJwtTssKwjAQ_BpBYYXspmBr2EPx4MlTFc9bG02wjaWNlPr1puhphhnmMfmnZzKPjgVNaPhsu761UDk_tHaGO5CGDLCgHAj3SoHLJ3jICAoqCVFWpE6v4G8ChzLx9aXaAGI-UQE6CwrhDVrDlnaUsspIUwfpLP_7U-I3uBiNRMukk1b2g28TLrOmjnOfHnbRsYSPcePMSGYYGa_HLwNUOOc

 

 セクトライトの月とおなじサインにヘッドがあります。ヘッドはふたごでイグザルテイションとされていいます。本当なのかもしれません。一方でヘッドやテイルと同じサインの天体は“弱い”という説もあります。マレフィックである土星が弱いのは結構なことかもしれません。実際10歳までは土星Rは全くというほど機能しなかったように思えます。

  正統占星術で使うハウス分割方式は、サイン-ハウス方式、いわゆるホールサインハウスシステムです。このホールは whole です。米国式発声ならホウルと表記すべきかもしれません。しかしホウルではますますなんのことかわからない?。日本語のホールという表記は、穴(hole)や広間(hall)とも区別がつきにくいので、ホールサインハウスのことを全体サインハウスとも呼ぶことにします。
 チャートの読み方に厳密な規則はありません。技術四天王を適宜使うアート、お絵描きみたいなものです。ただ最初の検討項目はセクトです。セクトに的を絞ったら後は原則自由です。作品の出来栄えは、アーティスト(占星術師)の度量と技量によります。占星術システムに責任があるわけではありません。
 セクトアジェンダ(予定表、計画)みたいなものです。占星術愛好家が趣味でチャートを読む目的ならこれから説明するセクトを観点とするテクニックでほぼチャートは読めます。占星術のチャートの正統な読み方を公開するのは、書籍&webを通してこれが本邦初です。
 夜生まれなので、セクトメイトの月、金星(最良天体)、火星の三天体とセクト外の土星(最悪天体)に注目します。
 天体、サイン、ハウス&アスペクトが技術の四点セットです。まず天体を選定することに成功しました。残りの三点セットをどう使うか決まりはありません。時間がないならアスペクトに注目するのも一つの手です。テンプルのチャートなら土星-火星-月がTスクエアです。しかしチャートを検討する時間があるならまずはサインに注目します。

☆Triplicityはドロセウス式
 正統占星術は由緒正しい占星術です。正統占星術で使うトリプルシティ(トリプリシティ)は Dorotheus 式一択です。
 ドロセウス式のトリプリシティルーラの表は用意しておく必要があります。トリプリシティは追い風を示すからです。夜のトリプリシティルーラにはtrpを付しました。

 土星いて←trp木星おひつじ、セクト外のベネフィック
 trp火星うお←trp木星おひつじ。両者はミュウチャルディスポジション
 金星おひつじ←trp火星うお。両者はmixedディスポジション
 月ふたご←trp水星おひつじ←trp火星うお

 地のサインが全く登場しないので非現実的なおとぎ話しの主人公のような生涯です。ファイアサイン強調なので突然炎のごとくな人生です、目立ちます、花のある人です。
 サインはポテンシャルを示しています。個人の資質を決めるのは主として水星、金星&火星です。素質は十分です。このなかではまずは金星に注目します。金星は夜天体でありしかも夜天体である火星が支配するサインにいるからです。実際、金星的職業で大成功し4年間世界一の人気者として歴史に名を残しました。夜生まれなので金星は最良天体です。昼生まれでも金星的素質がある人は珍しくありません。しかしそれ相応の苦労は必要です。金星的素質を発揮するのに幼いテンプルが苦労したという話しは伝わっていません。


 金星おひつじ(タレント)←→火星うお(戦士、アスリート、身体能力)←→木星おひつじ(本人、神の申し子)

 テンプルが生まれてもおかしくない生年月日


 なお面倒ならサインの検討は省略しても構いません。月以外は、その生年月日前後約100万人に共通の特徴だからです。百万人のなかから抜きん出るにはハウスの検討が欠かせません。アングルはハウスシステムの部品の一つであり、ハウステクニックにはアングルも含まれます。
 次回は吉凶判断の肝であるアングルとハウスについて検討したいと思います。

 

  シャーリー・テンプル主演映画のDVDは日本では入手困難になっています。当ブログ的には1936年の「Captain January」がおすすめです。当時はタップダンサーでもあった Buddy Ebsen(バディイブセン)が出演しているからです。

 1935年の「小連隊長(The Little Colonel)」もおすすめです。稀代のエンタテーナーであったビル”ボージャングルズ”ロビンソンとの歴史的初共演映画だからです。ただ、これは中古で値が下がるか、リーズナブルな値の新品がリリースされたらの話しです。

 

小連隊長 (スタジオ・クラシック・シリーズ) [DVD]
 

 

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