ハウス

☆ハウスの吉凶
 セクトメイトの3天体とセクト外のマレフィックに注目することを前回語りました。命あってのものだね、正統占星術ではマレフィック(ス)は大切です。
 伝統的占星術界の大スター占星術師リリーも強調するようにハウスは重要です。セクトを主観点としてチャートを読む場合でも、おそらく最も大切なのは、ハウスとアングルの吉凶です。

 シャーリー・テンプルセクトメイトと土星のハウス位置
 天体     ハウス番号
 土星       1
 火星       4
 金星       5
 月        7
 ASCいて←木星   5
 DSCふたご←水星  5
 ICうお←木星     5
 MCおとめ←水星   5

 ハウス分割は全体サイン方式(サイン-ハウス方式)いわゆるホールサインハウス方式を使います。
 アングルのハウスである1、4&7と幸運のハウスである5にしか天体がありません。これで答えは出たも同然ですけれど少しつたない説明をします。
 セクト観点でチャートを概観するテクニックで細かいことまでわかりません。しかし基本的なことはほぼ回答可能なはずです。そうでないなら占星術はインチキであることになります。セクトシステムは、as above so belowシステムの始点です。

 前回申し上げたように天体のサインは、月以外は約100万人に共通の特徴となり勝ちです。従来の占星術は、この百万人に共通の特徴で妄想をたれ過ぎです。サインの分類{例、二重(double-bodied)、多産、不毛など}やhot & coldのようなサインの基本特性は占いのテクニックとして使えます。しかしサインのテクニックで重要なのはエセンシャルディグニティズです。特にドミサイルロードすなわちサインを管理するルーラが重要です。これを知らないとハウスのテクニックも使えません。不思議なことに、チャートが示す要素がイヴェント化するときはエセンシャルディグニティズに照応する事柄しか起きません。これが占いの摩訶不思議なところです。

 話しを本題に戻してハウスです。アングルそしてそこから導かれるハウスは個人の特徴を示します。この地上の事物と物事は12分類できます。強引にでも12分類します。12個のハウスには吉凶があります。
 悪いハウスいわゆるマレフィックハウスは6、8&12です。悪さの順番というのも一応あるにはあるのですけれど、そこまでこだわらなくても良いと思います。あえて言うならこの中では8がましです。
 良いハウス(7 advantageous places ないし 7 preferable places)は、良い順に1、10、11、5、7、4&9です。残りの2&3はあいまいなハウスです。2はどちらかというと悪く3はどちらかというと良いハウスです。
 冴えている方ならアスペクトのテクニックが使われているのがわかると思います。占星術の技術4点セットはどこまでもついて回ります。
 アセンダント(ASC)サイン=ハウスに対しアスペクトできないハウスは四つあります。2、6、8&12です。ゆえに2を悪いハウスに入れることもあります。しかし通常2は入れません。あるハウスAの次のハウスBは、Aのリソースやサポート(例、家畜)を示すからです。第2ハウスは、木星が管理するハウスであり、病気、死&幽閉というような凶悪な意味は通常は薄いからです。ただし2は屠殺のハウスであり特殊な状況では注意が必要です。Death house(8)の対向として凶悪さを発揮することもあり得ます。
 上記の良い順位のネタ元はドロセウスです。ドロセウスこそ占星術です。由緒の正しさではトップクラスの資源です。ただしハウスの順位については諸説あります。しかしこのドロセウス式で大過ありません。

☆最強のテクニック、アングル
 一方アングルはチャートの最強点です。基本良い点です。1、10、7そして4の順に強さが弱くなります
 テンプルの場合ASC&MCは二重サインです。彼女の人生には複数の時代があります。女優時代、母親時代&外交官時代です。もちろん2度結婚していることも複数の時代に含みます。最強力のアングルのルーラはすべて第5ハウスに入っています。人物像(←死後のイメージでもあります)を一言で言うなら稀代のエンターテーナーです。第5ハウスは金星(アーティスト、歌手、女優)がjoy(喜)となるハウスです。また不思議なことに第5ハウスは大使(ambassadors)のハウスです。第5ハウスに特徴がある人すべてが大使になるわけではありません。占星術は後付けの技術です。テンプルのように実際大使だった人のチャートは第5ハウスに特徴があります。一方で占星術は予測技術でもあります。セクトを始点とするポラリティ(イエスorノー)の原理は貫徹します。本チャートを前にして、大使の資質があるか?と問われればイエスです。第5ハウスにはMCルーラの水星(ambassadors)が入っていますから政府とかかわりのある第5ハウス的仕事に就くポテンシャルを持った人です。
 テンプルの場合、セクト関連の4天体とアングルルーラの計6天体は、マレフィックハウスに入っていません。すべて良いハウスに入っています。何やっても成功しやすい強運の人です。5は子どものハウスでもあります、だから子役?
 第5ハウスが子役を示しているどうかは不明です。しかし、テンプルの子ども3人を示していることは確かです。母親役はテンプルの2番目の時代です。第5ハウスを基準とすると、その家庭のハウス(子役の結果のハウスでもあります)は第8ハウスです。そのサインはかにです。かにを支配する月は一般的に母親を象徴します。セクトライトの月がアングルの第7ハウスですから、良い母親のイメージは強力です。
 Shirley Temple as a mother で検索すると、母親時代のテンプルのイメージを視聴できます。非の打ちどころがない母親像だと当方には思えます。

アスペクトとロッツ
 セクトにおいて、サインとハウス少なくともハウスを検討すれば相応にチャートは読めます。もちろん初級レベルではありますが。
 アスペクトとロッツを加味すれば大概の質問にイエスノーレベルに、つまりセクト的に回答することができます。
 次回はテンプルのロットオブフォーチュンとアスペクトについて検討する予定です。

 

 英語の本で失礼します、ですけれどドロセウスだけは別格です。ドロセウスこそ占星術だからです。非常に大きく構えて言えば、後の占星術はその解釈に過ぎない、とまで言えるかもしれません。Valens はどうしてくれる?というツッコミが来そうですが。

 値段も手頃ですし御守として持っておく意味があるかもしれません。図表(65個あり)をみれば英語が得意でなくても結構いけます。

 

Carmen Astrologicum: The 'Umar al-Tabari Translation

Carmen Astrologicum: The 'Umar al-Tabari Translation

 

 

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