☆東京砂漠
占星術の本場の本場ならではのモダン占星術の邦訳書には次のようなものがあります。日本にはこれだけしかなかったとも言えます。
a クリスチャン・アストロロジー（CA）
b 占星学とカバラ
c 秘教占星学
d アメリカ占星学教科書第２巻
e 占星術完全ガイド
ただこの５冊は、どれも相当に問題があります。CAは難しすぎて入門書としては向いていません。事実あまり売れていません。読んでもわからないという評価が浸透したからかもしれません。ｂからｄはニッチ市場向きです。CA以上に入門書には不向きです。アメリカ占星学シリーズは心理占星術全盛時代に執筆されただけあってやや旧い。翻訳の問題も相まって、何言っているのかわかり難いことがあります。その第２巻だけは、ほぼ唯一のシナストリーの専門書です。他に選択肢がないのでこれが部門トップの本です。
ガイド（e）は著者のバークの旧作であって新作ではありません。つまり中身がやや旧い。とはいえ日本語で読めるモダン占星術のネイタルの入門書としてはトップです。
やや極論ながら、日本には本場のトップレベルのモダン占星術はまだ導入されていない、結局のところこういう状況でした。日本の占星術師にも英語が得意な人はいます。しかし彼女ら彼らは情報発信力に問題大有りで、本場の占星術は全くというほど日本には普及していません。
☆地獄に仏、砂漠にオアシス
アンソニー・ルイス著の「ホラリー占星術」の邦訳書（以下ルイス本とも言います）が刊行された２０２０年は日本占星術史上画期的な年です。リリーのCAの邦訳書刊行につぐ歴史的な年です。読み手を選ぶCAよりもルイス本のほうが日本の占星術の正常化に貢献するかもしれません。
本場の本格的占星術の本流的ジャンル（ネイタル＆ホラリー）のほぼ初の邦訳書です。ガイド（e）を初とみなすなら二番目です。ホラリーではもちろん本邦初です。
中級者まではCAはほぼ不要でルイス本のほうが実際の役に立ちます。ルイス本ではものたらなくなったらCAの出番です。
☆モダン占星術のホラリーの系譜
アンソニー・ルイス著、ホラリー占星術の８４ページ。リリー以後の注目すべきホラリー占星術の著述家として以下の７人を挙げています。
マーク・エドモンド・ジョーンズ(Jones)
バーバラ・ワッタース（Watters）
シルビア・デロン(DeLong)
デレク・アップルビー（Appleby）
アイヴィ・ヤコブソン(Goldstein-Jacobson)
シモナイト（Simmonite）
余談ですけれど、 Ivyをアイヴィと表記するなら、Oliviaはオリヴィアだろとは思いますが慣用に従ったのかもしれません。
当ブログ的にはもう少し拡張して“決定版”を公開したいと思います。ウイルソンやMcEvers女史を落とすのは正当でないからです。
☆ホラリー占星術のリンケージ決定版
１９世紀
ウイルソンの辞典。ホラリーの記述が数十ページあります。
ザドキエルのCA簡略版
Simmonite（シモナイト） の horary astrology
２０世紀前半
マーク・E・ジョーンズ
C.C. ザイン
ロバート・デュレイス
２０世記後半
Ivy ゴールドシュタイン・ジェイコブソン
バーバラ・ワターズ（ワッタース）
ジョーン・マクエヴァーズ
シルヴィア・デロング
デレク・アップルビー
オリヴィア・バークレイ女史の horary astrology rediscovered(1990)
アンソニー・ルイスの1991年版 horary astrology
アンソニー・ルイスの1998年版 horary astrology、ルイス本の原著
２１世紀
レーマン女史の the martial art of horary astrology(2002)
ジョン・フローリー、2005年版のホラリーテクストブック
サールの５書（ラテン語版）のホールデンによる翻訳(2008)
バーバラ・ダン
クリストファー・ワーノック
以下略
伝統的占星術の古典的ホラリーのテクニックが英語に翻訳されたのは2008年が世界史上初めてだと思います。
それまでは、伝統的占星術のホラリーといってもせいぜいボナッティを参照するぐらいでした。なおモダン占星術のホラリーはリリー以後一旦すたれました。しかしシモナイト以来１００年以上の伝統がすでにありますから当たります。当たるテクニックを示したという点ではルイス本がその代表です。伝統的占星術のホラリー、サールがその代表は、当たるかどうかまだ検証不足です。
end
