☆アクシデンタルアセンダント
プロ野球なら開幕試合はエースが登板することになっています。占星術の場合アセンダントなしでは開幕は困難です。
アセンダント(ASC)はアワーメーカ(hour maker)です。まだ定番の訳はないようです。時を刻むもの、時の制作者、チャートを決める者、どれも語呂が今一つ。アワーメーカを使うのが無難なようです。またホロスコープは時を見るというような意味ですから本来アセンダントのことです。いまではチャートのことですが、アセンダントを決めるとチャート特にハウスが決まるわけですから間違ってはいません。
チャートを読むにはアクシデンタルにでもアセンダントを決める必要があります。なおアクシデンタルも定番の訳がありません。そもそもアクシデンタルを知らないプロが日本には多すぎます。日本が占星術後進国である一つの傍証です。
百発百中の伝説があるエヴァンジェリン・アダムズ女史はアクシデンタルにアセンダントを決めるモダン占星術の達人です。残念ながら女史の生まれ時刻は不明です。まさに伝説の人。モダン占星術の本場は欧州特に英国でした。占星術後進国であった米国が占星術大国になったのは女史が活躍するようになってからと言えましょう。
☆伝統的占星術なら常識
生年月日だけの生まれ時刻不明のホロスコープを立ててあれこれ言ってもほとんど意味はありません。プロでもこれをやってしまうのが日本の特質、品質、クオリティ。本場の海外だと生まれ時刻データに疑問があるのにプロでもやや強引にASCを仮定してしまうという問題点があります。問題があるなら後でいくらでも“修正”すればいいという考え方のようです。どっちもどっちですがまだ海外のほうがましかも。ASCの重要性を知っているからです。ホロスコープというのはASCサインが由緒です。これが占星術の泣き所。生まれ時刻不明の誕生図はどうにも使いにくい。だからこそ生まれ時刻不明でも使えるホラリーやイレクションが発達したわけです。これはネイタルの代用です。ホラリーやイレクションもネイタルの影響を受けます。最近出版されたルイスのホラリー本はそれを示唆しています。不思議なことに日本ではほとんど指摘されないようですが、伝統的占星術では常識的知識です。
それゆえにホラリーやイレクションはギャンブル的要素が強い。間違った読み方をしても運が良い占星術師だと当たります。
では生まれ時刻不明だとネイタルの鑑定はできないのかというそうではありません。日本では当店だけが導入している正統占星術ならこれが可能です。これは秘伝中の秘伝なので全部を明かすことはできません。
☆アクシデンタルな事例
今回は竹内結子(誕生図をnで標示)さんを例に生まれ時刻不明にどう対処するべきかヒントを述べます。
まず彼女は1980年4月1日、さいたま市南区生まれ、これが正しいと仮定します。この情報が間違っているとすると、もう手の施しようがありません。以下、これが正しいと仮定しての話しです。
出生地で1980年の春分図を立てます。これも日本では誰も指摘しませんけれど、春分図というのは、その年のその地点での“ネイタルチャート”、いわばソーラーリターン(特徴あるトランジットの一種)です。これはその地域生まれなら誰にでも影響します。一般論で言えば有名人ほどこのソーラーリターンの影響を受けます。
この地点(さいたま市南区)での1980年春分図のASCは、てんびん29度08分です。MCはしし2度59分。アングルのルーラであるn太陽の重要性は後で少し述べます。
ASCはヴィアコンバスタ(バイアコンバスタ)にしてどんづまり手遅れの29度です。竹内結子さんが他界されたときのt水星はてんびん29度です。偶然?
春分図をみれば初心者でも理解できるようにt水星は自殺のハウスのルーラです。その自殺のハウスに社会天体のn木星とn土星が入っています。社会的な話題(n水星&t水星)となります。一方n水星うおは第6ハウスです。つまり事件事故、悲嘆&“ご不幸”のハウスである6-12にn水星うおとn木星おとめ&n土星おとめが位置することになります。n水星とn木星はモダン占星術の用語で言うところのミュウチャルリセプションMR(より適切にはミュウチャルディスポジション)です。いわゆるデトリメント同士(アスペクトでは別れのオポ)かつマレフィックハウスでのMRですからアクションが衝動的に悪い方向へのものとなりがちです。
ASCルーラの金星とn金星(女優)は死の第8ハウスに入っています。不思議なことに春分図の月おうしは第8ハウスで、これが竹内さんのn月に運行すると第1ハウスてんびんに入ります。
他界時のt月はみずがめであり、春分図の金星&月おうし、およびn金星おうしを右側(優勢側)から見ています。一方n月は右側からトラインでt月 in 第5ハウスを見ています。事後でないと無理な解釈ですが第5ハウスは死後の業績を示します。彼女最大の功績は、映画なら「いま、会いにゆきます」を残したことでしょう。
占星術的には死因は、第12ハウス(霊界、スピリチャル)出身の第6ハウスのn水星が示します。つまり精神的な“病気”です。n水星はn金星(死の女神)を右側から*で見ています。金星はうおでは高揚ですから、女優にして死の女神のn金星は、nうおの水星(病気)を受け入れます。
時期についてコメントするなら、40歳を代表する天体はn土星おとめとt土星やぎです。t土星は、生命を象徴するライツのn月てんびん(1)とn太陽おひつじ(7)といわゆるTスクエアです。当ブログで何度も述べているようにアングル絡みは現実化するリスクが高い。
n土星は自殺のハウスにインです。t水星とn土星はいわゆる mixed リセプションとなっています。相互対応的なリセプション(ディスポジション)があると良くも悪くも事が容易に起きてしまいます。
事前に危ない星回りがわかっていればどの程度効果があるかどうかはともかく危機をなだめる対処法、remediation はあります。ただ、これは当ブログで論じる範囲をはるかに超えています。当ブログではチャートを読む難行で精いっぱいです。Remedy, remediationまでは手が回りません。事が起きれば星回りを客観的に検証できます。しかし remediation の効能は検証が困難です。
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