偉大な学者

 当店、当ブログは、日本で唯一の正統占星術どころ(処)です。正統占星術の伝説的開祖はヘルメスです。

 その歴史的な開祖は、ネケプソ&ペトシリスです。彼らの正体は不明です。しかし彼らは実在はしました。ネケプソ&ペトシリスの情報を含んでいる重要文献は、ドロセウス 、ヴァレンズ(ヴァレンス)&ファーミカスです。このうち、後の占星術の歴史に最大級の影響を与えたのがドロセウス です。

 極論ではあります。しかし西洋占星術の歴史は、マンデン以外は、ドロセウスの解釈の歴史です。マンデンの実質的開祖はプトレマイオスです。故山本啓二教授が別格と称する由縁です。

 ホラリーの大元ネタはドロセウスです。日本では誤解があるようですが、古典ギリシアの時代にホラリーはなかったようです。ホラリーは恐らくインド人の発明です。インドは、”歴史”なき文明ですから、その証拠を示すことは困難です。インドがホラリーの開祖とはいえ、今日西洋に伝わるホラリーを構築したのは、8世紀後半のペルシア系の占星術師たちです。文献上ではマシャアラーです。バグダット建設の鍬入れのイレクションプロジェクトのチームの一員が若きマシャアラーでした。面白いのはこれはイレクション(762年7月31日)であってホラリーではないことです。マシャアラーのアラビア語の文献はほとんど残っていないようなので、ドロセウスを参考文献(ギリシア語?、中世ペルシア語?)としつつ、いつ頃誰がホラリー(なる独立したジャンル)を構築したのか永遠の謎です。ただ800年ごろ以前だとは推定できます。中世ペルシア語のドロセウスがアラビア語に翻訳されたのがこの頃なので。

 

 山本啓二 教授 1953年11月3日, 長野県 - 2018年7月17日

 日本唯一の正統的な占星術の研究者でした。ギリシア→ペルシア→中世イスラム、この血脈の研究こそが正統的な占星術の研究です。山本氏は、占星術の研究では日本のトップ、中世イスラムに限れば世界トップクラスの学者でした。その最大の功績は、事実上の遺作でもあったアブマシャー(アブー・マーシャル)のアラビア語校訂版The Great Introduction to Astrology の英訳です。

 またプトレマイオスのテトラビブロスの伝播の研究では”世界一”でした。テトラビブロスを邦訳できたかもしれない唯一の研究者でした。

 

 上記のヘルメス起源の情報を多く含んでいるのが、ギリシア語の文献よりも、アラビア語の The Great Introduction to Astrology です。ササーン朝ペルシアにおいてギリシア語の文献が盛んにペルシア語に翻訳されたからでしょう。今日我々が西洋占星術を実践できるのは、このササーン朝のおかげです。

 

 山本啓二氏の著作は入手困難になっています。代表作は下記の訳書二つです。都道府県の図書館には大抵有ると思います。有識者向けです。

 

西洋占星術の歴史

西洋占星術の歴史

 

 

 

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