クリスマス映画

 キリスト降誕祭いわゆるクリスマス、その経済効果は米国では1兆ドル、約140兆円のようです。クリスマス行事の本場は米国なのかもしれません。

 クリスマスはここ日本でも最大級の人気行事です。日本のクリスマスの経済効果は約6700億円らしい。ただかつては一兆円以上あったようです。縮小したとはいえ経済効果が1500億円に満たないバレンタインやハロウィンよりは大変に人気のあるイヴェントです。クリスマスは米国では重要な行事ですから、映画産業がこれを見逃すはずもありません。

 

 ハリウッドは夢の工場。米国映画には、天使や幽霊が登場する映画が多くあります。一つのジャンルを形成するほど多い。世界覇権国である米国国民は、基本リアリスト、プラグマティストではあるのでしょう。一方ロマチックな人々もまた多いのでしょう。ミュージカル映画などというジャンルが存在するのも、彼女ら彼らのロマチックさのゆえでしょう。舞台でも映画でもミュージカルの本場は米国です。劇中いきなり歌いだしたり、踊り出したりしても、驚く観客は少数派です。ロマチックな人は歌や踊りを期待してみているわけです。

 国民性(占い?)というのは、占星術の法則と同様、打消しというのはありません。種々の傾向を持った人々が、共存、併存、混合しています。そんなロマンチックな人がやたら多い米国においては、クリスマスを題材にした映画、クリスマスシーズンを背景とする映画もはなはだ多い。クリスマスムービー(christmas movies, christmas films)として一つのジャンルとなっています。ダイハードやグレムリンも一種のクリスマスムービーです。伝統的占星術を主力記事とする当ブログ的には新しい映画、ここ半世紀で制作された映画は、あまり取り上げません。少なくとも40年の時の試練(土星)を経ていない映画は取り上げるのに慎重です。40年というのはグレイトコンジャンクション2回分の年数です。新しいものはこれからもどんどん作られていきます。単なる一時の流行と時の試練に耐え得る価値を見分けるのは誰にとっても困難です。占星術も映画も古さの中に価値がある(ことが多い)はずだ、そうであるなら幸いです。

 

 クリスマス映画に傑作というのは少ないのですけれど、クリスマスシーズンに視聴すると面白そうな映画の選はウエブにも記事が多くあります。新旧バランスよく選ばれているのが次の記事です。英文の記事ながら現時点ではこれがベストの選集だと思います。

 

100 Best Christmas Movies of All Time – Classic Christmas Films << Rotten Tomatoes – Movie and TV News

 

 このリストの順位は変動します。下記の順位は2022年11月26日での順位です。

 

 1位のMeet Me in St. Louis。邦題が若草の頃のこの作品をクリスマス映画として挙げるのはどうかと思いますけれど、次の歌唱シーンのゆえに古典的クリスマスソング歌唱シーンとしてリストアップしないわけにはいかなくなった映画です。

 

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 2位のThe Shop Around the Corner、邦題は桃色の店。エルンスト・ルビッチ監督の傑作コメディ。邦訳のタイトルにありがちな意味不明なタイトルですけれど映画は傑作です。ルビッチ監督作品は軽妙洒脱とも評されるルビッチタッチが売りです。ルビッチタッチには多分継承者はいません。ただこの作品クリスマス感はそんなに強くありません。主演女優がそれほど魅力的に見えないのも難点です。

 

 10位の IT'S A WONDERFUL LIFE、邦題は素晴らしき哉、人生!フランク・キャプラ監督最後の傑作?。最強のクリスマス映画です。何しろ天使まで登場するのですから。天使登場以後のストーリー展開、個人的には結構退屈です。しかしラストに向かって畳みかける展開は映画の教科書のような出来栄えです。恐ろしいまでの緊迫感。

 

 12位の the apartment、アパートの鍵貸します。このリストのなかでも映画的な出来栄えでは最高傑作、優勝候補の一角です。ただクリスマス感は薄い。1960年、世界最先進国の米国では独身サラリーマンのアパートにテレビのリモコンがあったんだと感心します。

 

 48位のクリスマス・イン・コネチカット。数あるクリスマス映画の中でもクリスマス映画らしいクリスマス映画です。いわゆる古典的クリスマス映画。この映画、1945年の夏に公開されました。ドイツとの戦争は終了しており、そういう時代背景のもと制作されました。

 

 この100本の映画以外に、オールドアストロロジー好きの当グログならではの作品を挙げるとしたら次の3本です。

 

 群衆、Meet John Doe 、1941。名匠フランク・キャプラ監督。映画の出来栄えは素晴らしき哉、人生! よりも劣ります。しかし米国国民にとってクリスマスとは何か、を考えるには意義深い映画です。日本にはこういうクリスマス精神みたいなものはないのでしょう。米国のクリスマス精神に相当する日本の行事というと「歳末たすけあい」が思い浮かびます。

 

 我が道を往く、going my way、1944。キャプラ監督に対抗できるのはレオ・マッケリー監督ぐらいでしょう。クリスマス感はあまりないのですけれど、クリスマスイヴのラスストシーンには不覚にも感動してしまいます。

 

 3本目は、on moonlight bay。日本未公開。ムーンライト・ベイなるタイトルで映画ソフトは販売されています。これクリスマ映画ではないのかもしれません。しかしクリスマスの本場米国でのクリスマス行事の中でもいかにもクリスマスらしいキャロリングをこれ以上ない高揚感で表現したシーンがあります。クリスマスムードの高揚感ということでは当ブログ激推しの作品です。1910年代の話しを描く1951年公開の映画なので、当ブログ的に“古さ”は申し分なしです。なおクリスマス気分を味わえるシーンがある映画として推しているのであって、この映画の日本版のソフトを推薦しているわけではありません。

 映画の出来栄えは平凡ながら、アメリカ映画史上屈指の高揚したクリスマス感を味わえるシーンはこれです。

 

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ドリス・デイの誕生図

https://www.astro.com/astro-databank/Day,_Doris

 

 サールが指摘しているように神性のあらゆる文化、つまりクリスマスは第9ハウスマターです。日本語でクリスマスというとピンとこないかもしれせんけれど、クリスマスはキリスト降誕祭です。西欧にはクリスマスキャロル(クリスマス頌歌)の伝統があります。

 さてドリス・デイの誕生図のASCの度数は、astro.com ではおとめ25度、astroseekではおとめ13度です。ドリス・デイの誕生日は夏時間への切り替わりが微妙なタイミングです。どちらにしてもASCおとめ、MCふたごで、月が第10ハウスであることは同様です。on moonlight bay が公開された1951年はみずがめサイン第6ハウスの年です。年度代表星の土星Rてんびんは。高揚ルーラです。誕生図の第9ハウスはおうしサインです。てんびんとおうしのルーラ金星はおひつじサインで火星いてと△です。

 火星いて第4ハウス △ 金星おひつじ第8ハウス

 サイン的にいわゆるリセプションです。占星術の法則に原則打消しはありませんけれど、リセプションは打消しと思えるほど効果的に機能することがあります。実際には凶意を打消しはしません。しかし、リセプションは、守護天使のおかげかと思えるほど、ノーの様相をイエスの様相に傾けることがあります。

 芸能人や歌手を示す金星は、第9ハウスルーラですから、1951年公開の映画 on moonlight bay において、キャロリングのシークエンスがあるのは当然の卦です。

 

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