0度の秘密

 以下、チャートキャスティング地点は、特にことわりがない限り東京です。

 

 0度は地震度数。

 ただし度数と言うのは無視するのは好ましくないですけれど、天体そのもの、天体間のアスペクトほど重要ではありません。0度を代表する地震は1707年10月28日13:45頃起きたとされる宝永地震です。

 日本史上の地震の“ビッグフォー”は、恐らく1586年の天正地震、1707年10月28日の宝永地震、1923年の関東地震、2011年の東北地方太平洋沖地震です。うち宝永地震は、その49日後に富士山が大噴火したこともあり、歴史的には非常に重要な地震です。21世紀に、日本が最大級に警戒しなければならない地震は宝永地震の子孫的な地震です。

 

 子孫的な地震の出方は様々です。人間の子孫も様々で、将来どんな人材が出てくるか予断できません。地震も同様です、なんでもありです。

 宝永地震が起きた1707年の春分直後の新月図(1707年4月3日2:59am)では、ASCはみずがめ、そのルーラの土星はふたご0度で第5ハウスにインです。またICはふたご1度です。われわれは、最悪天体であった土星の位置、ふたご0度を憶えておく必要があります。

 東北地方太平洋沖地震のトランジットの月はふたご0度でした。

 1707年の春分直後の新月図では、第4ハウスはおうし、そのルーラ金星みずがめ26度は第1ハウスにイン、ICルーラ水星おひつじ26度は第3ハウスにインしています。ヘッドもおひつじ26度です。われわれにとって“先祖”の地震である宝永地震は26度に特徴があります。当然その子孫は26度に縁があります。2010年春分図の月はおうし26度であったことはまだ記憶に新しいかもしれません。

 

 もう一つ例を挙げます。

 1896年には明治三陸地震が起きました。1896年の春分直前の新月は、3月14日19:48で、新月はうお、ASCはてんびん、MCはかに22度です。うおサインは不運の第6ハウスで、第6ハウスには、ヘッドとセレスうお1度もいます。うおの管理者である木星Rは、かに29度です。すなわち木星RはMCにアドヴァンシングです。2011年に東北地方太平洋沖地震が起きたとき、t月はふたご0度でした。つまり次の卦が成立します。

 1896年春分直前新月図の木星R アンティション 東北地方太平洋沖地震のt月

 1896年春分直前新月図のセレス □ 東北地方太平洋沖地震のt月

 

 このように0度は言わば地震度数です。

 この単純な事実に最初に言及したのは、天文暦で有名な何代目かのラファエル(Robert Thomas Cross, 1850-1923)です、多分。

 ちなみに、最近日本でも話題の“アラン・レオの占星術”はラファエルの影響を受けています。アラン・レオの本業は商人(行商人?)であって、レオは言わばにわか占星術師でした。商人らしく、20世紀の占星術(←モダン派も伝統派も)のビジネスメソードを確立したのがレオの最大の功績です。一方、何代目かのラファエルは伝統ある天使名の Raphael を承継しただけあって、当時の一流の占星術師です。1896年、アレン・レオが自身の占星術協会を設立したとき、会長にはレオが就任し、副会長として招聘されたのがラファエルでした。モダン占星術のマンデン占星術の最大級のリソースがラファエルです。

 

 日本は世界一の地震超大国です。マグニチュード5.0以上の地震の発生頻度が、日本よりも多い国があり、それは中国、インドネシアおよびイランのようです。しかし、それらの国は日本の国土よりも面積がかなり広い。中国の面積は日本の約26倍、インドネシアの面積は日本の約5.2倍、イランの面積は日本の約4.4倍です。それに日本の場合、津波の心配もあります。日本につぐ地震大国は、インドネシアアフガニスタン、トルコそしてイランあたりですが、これらの国はインドネシアを除けば津波の心配は少ない。

 要するに地震と言えば日本、日本と言えば地震。日本の災害史上、最大級の被害を出した災害は地震で、その地震はもちろん1923年9月1日午前11:59の関東地震です。このときのイヴェントチャートを東京で立てます。すると、火星の位置はおとめ0度で、ASCはいて0度です。決定的ではないものの地震には関連が深いジュノーはおとめ0度です。

 念のために付言しますと、0度だから地震が必ず起きるわけではなく、0度無しでも地震が起きることが普通にあります。サインの度数は一定の影響力ありますけれど決定的ではありません。天体そのもの、そしてアスペクトの方が影響力は大きい。

 たとえば、日本国の歴史上、類例のない大きな内陸地殻内地震であった天正地震。これはグレゴリオ暦1586年1月18日に起きました。1585年の春分直後の新月図は実に強烈なチャート、一種の魔界チャートの様相ですが、0度の天体はありません。このチャート、次のアスペクトが目を引きます。チャートは京都で立てました。

 

 ICと第4ハウスはさそり。新月土星冥王星がおひつじ第9ハウス。これら両サインを管理する最悪天体の火星ししは第1ハウスにイン。

 冥王星おひつじ7度 アプライの□ セレスかに7度第12ハウス

 第12ハウスルーラの月は、ASCルーラの太陽に合から火星に△でアプライ

 

 マンデンであれホラリーであれ、トランジットチャートでは重要な天体である月はASCルーラからセパレイトしてICルーラにアプライしていますからICと火星に関連した事件が起きる年です。冥王星とセレスのコラボを見たら、世界一の地震超大国日本では、地震を想定すべきです。

 前回の記事で述べたように冥王星(ハーデース)は地下の王、セレス実はほぼペルセポネーは地下の女王ですから。

 

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