110年ぶり

 令和6年、2024年、大相撲春場所において、東前頭17枚目、新入幕の尊富士が優勝しました。新入幕力士が優勝したのは1914年以来とのこと。

 1914年といえば第一次世界大戦始まった年。その後世界大戦はもう一度ありましたけれど、新入幕力士の優勝2024年までありませんでした。まさに100年に一度の珍事。

 このような珍事は占星術的に必ず象徴されます。

 

 1914年東京春分図のASCはてんびん29度です。MCはしし3度です。

 ホールサインハウスが最強最良、少なくとも初級者にとっては、なのは、ASCサインが決まると自動的にサイン=ハウスが決まることです。この場合、栄誉の第10ハウスはかにサインということになります。その第10ハウスにはDSCルーラの火星(力士)が入っています。

 ASCルーラの金星おひつじとMCルーラの太陽おひつじは右側から火星かにを見ています。ものすごくわかりやすい象徴とまでは言えません。しかしそれなりに象徴しています。当時の大相撲は東西の対抗戦で、幕内優勝には現在ほどの価値がなかったのかもしれません。

 

 そして1914年の東京春分図と2024年のそれとの比較です。これはなかなかに“しびれる”ような象徴具合です。

 1914年の東京春分図では、セクトライトにして第10ハウスルーラの月みずがめ1度は第5ハウスに入っていました。第5ハウスは競技のハウスです。

 2024年の春分図ではt冥王星はみずがめ1度です。

 月 合 t冥王星 in 第5ハウス(←1914年のチャート)

 

 t冥王星は一般に無視してokですけれど、100年に一度の珍事となると効くのかもしれません。しかし決定的なのは、1914年のMC(“召命”)です。このMCししに2024年春分図のt月が合になっています。

 MCしし3度 合 t月しし3度

 

 不思議なのか当然なのか、このt月は2024年東京春分図のASCルーラです。

 

 話しはここで終わっても良いのですけれど、少し物足りないかもしれません。日本唯一の正統占星術処の当店にしかできない指摘をしたいと思います。

 1914年春分図から110年後のプロフェクションをとってみましょう。

 すると2024年のASCはいてサイン第3ハウスということになります。いてを第1ハウスとアクシデンタルにみなすと、栄誉の第10ハウスはおとめサインということになります。こういう芸当ができるのはホールサインハウスならではです。ホールサインハウスに慣れると、他のハウスシステムを使う気になれません?

 さて1914年春分図のおとめサインには天体がありません。そこでおとめのドミサイルルーラの水星に注目します。水星Rはうおサイン11度にあります。この水星は逆行していますから戻ってきます。いつ?、それはわかりません。結果的には110年後でした。

 尊富士のn火星はさそり9度です。

 1914年春分図の水星Rうお11度 △ 尊富士のn火星さそり9度

 

 少しずれている、そういうツッコミがあるかもしれません。ご無理ごもっとも。しかし尊富士の出生直前の半月図の火星はさそり11度なのです。占星術は象徴システムですから、こういった事にはほぼほぼ失敗しません。

 

 では誕生図は役に立たないのかというと、そうではありません。「天」は地上の出来事を象徴しようと最大限の“努力”をします。あるいは努力などしなくても、どうしてもそうなってしまうのかもしれません。どっちなのかは永遠の謎です。

 尊富士のn太陽はおひつじ18度かおひつじ19度のどちらかです。後者ならこれは太陽が最も高揚する度数です。前者なら“魔”の18度です。どっちにしても2024年東京春分図の第10ハウスおひつじに入ります。

 2024年の東京春分図の第10ハウスには水星おひつじ17度が入っています。この水星は、1914年のチャートを110年プロフェクトさせたチャートの第10ハウスおとめの支配星(ルーラ)でした。そして伝統的占星術好きなら見逃してはならない点は、この水星は尊富士のn太陽にアプライしている、これです。

 n太陽おひつじ18度もしくは19度 合 水星おひつじ17度

 

 セパレイトならイヴェントなど起きないとまでは言えませんけれど、アプライに比べれば価値は随分と下がります。特に、勝負は時の運、一瞬一瞬が大切な競技の予想においてはそうです。

 

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