長編三大傑作

 世界の三大喜劇王の一人、バスター・キートンは、1895年10月4日生まれです。

 

 中世イスラム占星術とはいささか趣を異にするモダン臭い占星術は15世紀後半からあります。しかしモダン占星術が本当のモダン占星術つまり海王星占星術となったのは1889年以後です。1889年頃に受胎したというべきか、そして本当のモダン占星術つまり伝統色が非常に薄い占星術が誕生したのが1895年です。というのはアレン・レオが関与した The Astrologer's Magazine が発刊されたのが1889年で、その雑誌の名前が「modern astrology」に改名されたのが1895年だからです。”名は体を表す”とはまさにこのためにあるようなアフォリズムです。伝統臭くない本当の?モダン占星術の誕生です。本当か偽物くさいかは観点によります。当ブログの立場では本当に胡散臭い占星術(←海王星占星術)の誕生、本物のモダン占星術の誕生ということになります。

 

 モダン占星術の立場では映画を海王星で象徴させることがありますけれど、1895年生まれのキートン映画芸術のために生まれたような存在です。

 

 サイレント映画時代のキートン主演の長編は全て相応の見どころがありますけれど、三大傑作を挙げるとすれば次の3本です。

 

 キートンの探偵学入門(Sherlock Jr.)、1924年

 コナン・ドイルは1930年没ですからこの映画の公開時は存命でした。1887-1927年に発表されたシャーロック・ホームズ物は大変な評判だったのでしょう。なおミステリ(mysteries)はモダン占星術的には海王星と月の関連です。

 この映画、キートンの最高傑作かもしれません。空前絶後の傑作と言えます。見ていないと表現の手段としての映画は語れません。未見なら本当にラッキーです。シュールな至高の傑作をはじめて観るという楽しみを味わえますから。

 

 キートン将軍(The General)、1926年。

 蒸気機関車将軍号のお話しです。鉄道オタクのキートンが「将軍は私のペットだった」と後に語ったほどのお金をかけた凝った大作。兵士役に州兵500人を雇って軍勢にリアリティを出すほどの力の入れようです。興行的に成功しなかったので呪われた大作と言えます。

 将軍ショックは次作の「キートンの大学生」にまで影響しています。「キートンの大学生」はキートンの長編のなかでは凡作です。「キートンの大学生」において、キートンは野球場で種々の競技を一人芸で演じています。確かにキートン一人で尺をとれば予算は少なくて済みます。

 将軍ショックからは結局回復できず、キートンはMGMに“身売り”することになりました。当時のMGMの3番目の高給取りとして契約したとのこと。後にキートンは、MGMと契約したことを「わが生涯最大の過ち」と回顧しています。

 さてこのキートン将軍、キートンの探偵学入門と並ぶキートンの二大傑作です。一発ギャグということでは、キートン将軍に軍配が上がります。この映画中にはコメディ映画史上最大級の一発ギャグがあります。

 その一発ギャグを決めた後のキートンの「the great stone face」が素晴らしい。キートン史上最大のドヤ顔を決めます。偉大なる無表情がウリのキートン、表情を変えるわけではないのですが、だれがどうみてもこれはドヤ顔でしょう。ドヤ顔を悟られまいとして懸命に無表情を作っているキートンの演技が素晴らしい。どうだ、これがコメディ映画史上最大の一発ギャクだ、そのことを観客に分かって欲しい、しかしそれを表情を変えて訴えるわけにはいかない、そうなるとあの偉大なる無表情になるのでしょう。

 

 キートンのカメラマン(The Cameraman)、1928年。

 キートン三大傑作の3本目はお好みでどうぞです。海底王キートンキートンのセブン・チャンスなど。荒武者キートンが好みの方もいらっしゃるかもしれません。悪夢感が強くシュールなのはキートンのセブン・チャンスです。しかし三大傑作となるとやはり「キートンのカメラマン」だと思います。これはMGMの制作ながらクレディットはされていないものの実質キートン監督作品です。キートン最後の傑作です。

 1928年前後のサイレント映画でこの映画以上の傑作はチャプリンの「街の灯」、1931年1月公開 ぐらいのものです。

 「キートンのカメラマン」でのコントは、ローワン・アトキンソン主演のTVシリーズMr. ビーン」にまで遺伝しています。アトキンソンがそのことを自覚していたかどうか不明ですが。

 またマルクス兄弟の「オペラは踊る」1935年公開 の船室でのドタバタシーンは「キートンのカメラマン」が原典です。日本語の Wikipedia の記事では要出典となっています。「オペラは踊る」船室のシーンがキートンのアイデアかどうかは不明ながら、「キートンのカメラマン」の更衣室でのシーンを質・量とも拡張し徹底して極めたのが「オペラは踊る」の船室でのシーンです。どっちがより面白いかと言えば、それは「オペラが踊る」のほうです。映画史上でも特筆すべきナンセンスの極みなシーンだと思います。

 

end

オバート翁

 ダイクス博士のお弟子さんであり友人でもある Charles Obert(チャールズ・オーバート)  さんの邦訳書、題して「古典占星術」が出版されるようです。ここでは Obert をオバートと読むものとします。

 オバートさんは、1952年3月7日生まれです。翁という尊称がぴったりの風貌の持ち主です。つまりその誕生図は土星に特徴があります。ASCサインはやぎです。それゆえにか、土星だけをテーマにした本を書いているぐらいです。Saturn Through the Ages: Between Time and Eternity、2019年。

 オバート翁は、当然にもともとはモダン占星術愛好家でした。占星術業界へのダイクス博士登場の影響などもあって、オバート翁は伝統的占星術を熱心に研究するようになり、現在は伝統的占星術師でもありモダン占星術師でもあります。モダン占星術を放棄はしていません。モダン占星術界はもっと伝統的テクニックを採用するべきだ、だって当たるから、という立場のように当方には見えます。それにチャートの読み方は伝統的占星術のテクニックを駆使するモダン占星術家のように当方には思えます。ハウス分割方式は、ホールサインハウスを主として使っていますけれど、ときにはプラシーダスも使います。ホールサインハウス以外のハウス方式を使うとどうしてもモダン臭く感じます、これは致し方ないところ。逆にホールサインハウスだけをハウス方式として採用したとしても、それだけでただちに伝統的占星術師になれるわけではありません。

 

 オバート翁の占星術界へのデビュー作は、「Introduction to Traditional Natal Astrology: A Complete Working Guide for Modern Astrologers」、2015年2月11日刊です。

 この本の邦訳書、上述の「古典占星術」は、もちろんカイです。伝統派であれモダン派であれ、占星術やる以上、必読です。伝統派を志向するのかモダン派を志向するのか、この本を読んでからの話しです。読みやすい占星術の入門書としてはベストの一つです。

 On the Heavenly Spheres と比べてどうでしょうか。On the Heavenly Spheres は伝統派であれモダン派であれ業界トップの入門書、さすがにこれは越えていません。しかしながら、On the Heavenly Spheres はダイクス博士登場以前の書籍であり、博士の影響をほぼ受けていません。一方、「Introduction to Traditional Natal Astrology」は、ダイクス博士の影響を受けています。チャートの読み方を学ぶという点では、「Introduction to Traditional Natal Astrology」のほうが簡にして要を得ています。

 伝統的占星術の文献の泣き所の一つは、チャートの読み方がほとんど書いてないことです。うんざりするほどの多数のテクニックが書いてあるのですけど、さて実際にチャートを読もうとすると、どう読んでいいかわかりません。これは当然で、詳しくは弟子入り後に教室で、なので。占星術は一子相伝的な技芸です。もっともモダンだって事情は似たようなものですが。

 

 オバート翁の誕生図

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/65496ac62e23610e709409f13c68d158.html

 

 ヘッドの平均値はみずがめ29度、真値はうお0度です。真値のほうが実態に合っているようです。ロットオブフォーチュンがおとめ7度第9ハウスだからです。ヘッドがうおサイン、テイルがおとめサインなら占星術の本を書く宿命を背負った生まれであることの説明が容易です。上述の「Introduction to Traditional Natal Astrology」が出版されたのはオバート翁62歳のときです。すなわちうおサイン第3ハウスの年です。うおサインにヘッド、太陽&水星(←誕生図の第9ハウスルーラ)があり、その年の出版のハウスであるさそりサインにMCと火星があります。ヘッドがみずがめサイン第2ハウスにあるとしても本の出版はできたのかもしれませんけれど、物書きの第3ハウスであり、その年の代表サインであるうおにヘッドあるとしたほうが説明が容易です。

 

 さてオバート翁の水星はうお29度です。フォールでありいわゆる涙の度数です。こういう天体でも使えないわけではありません。現に60歳超えてから有名占星術師になり何冊もの本を出版しました。しかしながら水星はフォールであり、ぎりぎりの29度であることを止めるわけではありません。たとえば、オバート翁、渾身のジョークはこんな具合です。

 「Introduction to Traditional Natal Astrology」の235ページには glossary & index があります。たとえば Stakes の項ではその簡単な説目があり、ページ32とあります。

 不思議なことに238ページには Pluto すなわち冥王星の項があります。その説明はディズニーアニメの有名なキャラクターとあり、245ページを見よとあります。プルートは有名なネズミが飼っているペットの犬だというのは、業界では有名なジョークです。誰が言い始めたか不明ながら、冥王星嫌いのクリストファー・ワーノックかもしれません。

 さてオバート翁指定の245ページをみると、実は245ページは背表紙の裏であり実質最後のページであり白紙です。Pluto の説明など全く載っていません。

 オバート翁、渾身のジョーク、フォールの水星になっていなければ幸いです。

 

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一宿一飯

 かの地では1000年に一度クラスの地震災害であったらしいモロッコでの地震について検討します。チャートキャスティング地点はモロッコの首都ラバトです。

 

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 2023年春分のヘッド位置はおうし4度です。モロッコの首都でのDSCはおうしサインで、そのルーラ金星はおうし4度にいます。つまり金星 合 ヘッドであり、DSCはおうし5度です。金星もヘッドもいわゆるデクライン側(ケイデント側)であり手遅れ感があります。一方で金星は災害の第12ハウスルーラではあります。しかしこの金星は最良天体です。またおうしサインは金星がいる場所としては最良のサインです。1000年に一度クラスの地震災害を象徴する卦としてはあまり適切ではありません

 実は小惑星のジュノーはおうし5度です。地震に関連が深いとされているジュノーを使わなくても説明が可能なチャートだと思いますけれど、ジュノーがダメ押しにはなっています。

 

 ASCさそり5度は、いわゆるバイアコンバスタです。決定的ではありませんけれどやや不吉です。火星を十分に検討する必要があります。

 火星ふたご27度第8ハウスは相応に不吉ではありますけれど、火星は金星を見ていません。しかしながらt月は天王星から*でセパレイトし火星に□でアプライしますから、歴史的な事件事故などが起きないとまでは言えません。天王星を使わないとすると、t月は金星から*でセパレイトしていますから、ASCルーラと災害のルーラが関係があることになってしまいます。

 地震災害というとICが気になります。ICはみずがめ9度で、みずがめ第4ハウスには天体がありません。ハウスに天体がなくてもシンプルに災害は起きます。ハウスに天体があると、起きる事象が複雑化します。

 

 このチャートが世界一の地震超大国日本の首都でのチャートなら地震を想定するのは当然です。しかしモロッコとなると微妙です。1000年に一度クラスの地震災害を想定するのは無理だと思います。

 

 この地、つまりICルーラの土星うお1度が象徴する地で地震災害が発生することをよく象徴しているのは、最悪天体である土星と一年間を最もよく象徴するASCルーラ火星の関連です。土星と火星はコントラアンティションです。両天体ともアングルのルーラかつ凶星ですから警報的チャートです。

 

 とはいえ以上述べたことを総合しても1000年に一度クラスの地震災害を想定するのは無理があると思います。この辺が占星術の難しさと奥深さです。簡単な占星術というのはインチキ臭いものです。一枚のチャートを読むというのは所詮ギャンブルです。当たるも八卦当たらぬも八卦です。

 ではどうしたら?。業界的に標準の正答は恐らくありません。しかし正統占星術では“由緒”を大切にします。この一枚のチャートはどういう由来のチャートか、これがヒントになります。

 由緒を探るチャートはいつ立ててもokなのですけれど、ここでは2023年の春分直前の半月図を立てます。

 

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 春分図では最も目立つ天体であった金星は、半月図では不動産の第4ハウスルーラであることがわかります。これを知らないと春分図の金星を大地と結びつけることは困難です。そして結果的には半月図のICルーラのt水星が金星とアンティションションとなる位置に運行したときに地震が起きました。

 半月図の金星おひつじ18度 アンティション t水星Rおとめ11度

 

 このチャートで最も目立つのはICの軸です。ASCルーラの月は昼チャートなので凶意を孕んでおりIC(大地)に30分以内でピタリと合です。これはイングレス図ではなく半月図なので、特段の事情がない限り歴史的な事件事故などが起きます。さらに本当に微妙なことながら、この太陽と月はMC-ICの軸のデクライン側です。ICが象徴することがらについて何かよくないことが起きると予想できたとしても対策困難です。

 春分図の火星は、この半月図では最悪天体であり災害の第12ハウスのゲストであったことがわかります。一宿一飯の恩義というのは占星術にもあります。敵を象徴するハウスのゲストとして火星は義理を果たそうとします。

 春分図ではうお1度であった土星は、半月図ではみずがめ29度第8ハウスです。切羽詰まっています、もう後がありません。何事か起きてからでないと土星は次のサインのうおに進入できません。

 もちろんこの土星は恐怖の大王です。恐怖の代表的事象である死に関連するハウスは第7ハウスと第8ハウスですけれど、土星はこの両ハウスのルーラです。

 

 さらにダメ押しのようにジュノーはおひつじ27度です。すなわち

 半月図のジュノー * 春分図の火星 in 第8ハウス

 

 おひつじは火星が管理するハウスですから、火星はジュノーの主張を受け入れます。

 

 小惑星はおとめサインのルーラであるとの説があります。小惑星をサインのルーラとするのは不適切ですけれど、ギリシア神話的には、4つの小惑星はおとめサインと関連が深いのは確かなようです。

 

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真っ赤な日食2

 前回記事にした“真っ赤な日食”は、読みようによっては山火事を予兆しますし、勝負事の予兆としても読めます。勝負事というと闘いの火星が気になりますけれど、この日食においては、火星がししサインに入っているからです。

 占星術は象徴システムなので、地上の出来事の全てをそれなりに象徴します。見事に象徴することもありますし、へたくそに象徴をすることもあります。象徴ということの性質上チャートはいつ立ててもokなので、そのタイミングを選ぶのは占星術師の運と腕によります。

 

 2017年8月21日にししサインの28度で真っ赤なイメージの皆既日食がありました。前回の記事で触れたように2017年、セリーグの王位を得たのは、当然赤ヘル軍団の広島でした。ではパリーグはどうでしょう?。

 

 2017年パリーグの優勝は福岡ソフトバンクホークスでした。パリーグの王者です。そして、この年、ソフトバンクホークスは、日本シリーズに進出し日本一にまでなりました。あれ、日食は王の苦しみを示唆するはずでは?。

 この日食は、太陽が管理するサインであるししで起きた日食です。セリーグというのはセントラルリーグの略なので、当然太陽が象徴します。物事の中心や中央は一般に太陽が象徴します。土星から月までの序列で、太陽はセンターに位置します。つまり、この日食はセリーグのほうにより影響します。よってセリーグの王であった広島は日本シリーズにすら進出できませんでした。この年日本シリーズに進出したのはセリーグ3位であったDeNAです。

 2017年のパリーグクライマックスシリーズのファイナルステージは、福岡ソフトバンクホークス東北楽天ゴールデンイーグルスでした。この真っ赤な日食的にはどちらが有利でしょうか?。

 ホーク(鷹)もイーグル(鷲)も太陽が象徴するかもしれない鳥です。よって、この二つの球団がファイナルステージで対戦したのは象徴的に納得できます。

 しかしながら、鷹と鷲、どちらか一方だけを太陽で象徴させるとしたら、それは鷲のほうです。鷲は王権の象徴であり、ローマ皇帝の紋章であり、国章としてもよく使われ、中世なら神聖ローマ帝国、現在なら事実上の世界覇権国であるアメリカ合衆国の国章にも鷲が使われています。

 アーリーモダン期最大の占星術師リリーは、火星が鷹を象徴するとしていますから、鷲を太陽とするなら、鷹は火星です。

 さらにゴールデン、金色ないし黄金色は、太陽が象徴する色ですから、東北楽天ゴールデンイーグルスは太陽が象徴します。日食は太陽の苦しみを象徴しますから、楽天にとっては不利です。火星で象徴される福岡ソフトバンクホークスが勝ちそうです、少なくとも真っ赤な日食のチャートだけを読む限りにおいては。

 日本時間では2017年8月22日の午前3時半ごろに起きたこの皆既日食のチャートを福岡市で立ててみるとASCはしし0度です。ただしASCはかに29度の可能性もあります。しかしながらMCはおひつじで確定です。つまり、MCルーラ火星、日食がししサインに入ります。MCはおひつじ19度ですから次の卦が成立します。

 火星しし20度 △ MCおひつじ19度

 

 しかもMCは火星にアプライしています。これはかなり決定的な卦で、常識的には火星で象徴されるホークスが勝ちます。

 MCおひつじ19度が正しいとするならこれも象徴的です。おひつじ19度は太陽が最も高揚する度数だからです。

 

 福岡ドームでの皆既日食チャート

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/c8cd9a24a068459c90acfcd1dab293bc.html

 

 念のため、astro.com でもこのチャートを出してみました。ASCはしし0度04分、MCはおひつじ19度41分でした。どうやらASCしし0度、MCおひつじ19度で正しいようです。

 

 ちなみに仙台でこの日食チャートを立てると、ASCしし10度、MCおうし0度です。

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/6442a9783b2f220106296fbb51c6b777.html

 

 占星術の象徴システムが実に見事に機能していることがわかります。MCルーラの金星かに24度は第12ハウスです。勝利の女神の金星はASCサインのししを見ていませんから楽天は勝てそうにありません。このチャートだけで判断するならです。

 

 ゲームの勝敗の事前予測を試みたいなら、当然コンテストチャートを立てるべきです。これについては説明しません。本一冊必要になるようなテーマだからです。

 

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真っ赤な日食

 真っ赤に燃える太陽、そんな歌謡曲もあったくらいです。当店的には黛ジュンさんの歌唱がおすすめです。真夏の恋はすてきですが真夏の火災ではたまったものではありません。しかし逃げる準備をすることは可能です。

 

 2023年8月8日午前0時過ぎに最初の発火があったとされるハワイ・マウイ島の山火事について占星術的に考察してみます。

 火災はファイサイン(おひつじ、しし&いて)と火星の関連です。特に、山火事はししサインの関与が重要です。森林すなわち forest はししサインが象徴するからです。

 占星術上の天体の動きというのは象徴ですから、チャートはいつ立ててもokです。立てたチャートが象徴システムとして相応に機能しないということはあり得ません。ここではまず2017年8月21日に起きた皆既日食に注目します。この日食はししサインで起きたからです。

 

 2017年8月21日にししサインの28度で皆既日食がありました。そのときのヘッドの真値はしし24度です。

 2016年のセリーグの優勝は広島でした。2017年、セリーグの王位を得たのは、当然赤ヘル軍団の広島です。何しろ真っ赤っかのイメージの日食です。ところが、広島は日本シリーズには進出できませんでした。日食は王の苦しみを示唆します。

 

 米国ワシントン市でのこの皆既日食のチャートはこんな感じです。ASCはいて4度で、MCはおとめ19度です。ししサインは遠方の第9ハウスです。事後でないとわかりませんけれど、ワシントン市から最も遠い州は、アラスカ州ハワイ州です。

 MCルーラの水星は政府の仕事を示唆しますので、この水星がアングルのハウス特に第1ハウスに入るような州は、政府の仕事となるような災害の恐れがあります。この日食図では災害(sufferings)のハウスはさそり第12ハウスで、そのドミサイルルーラの火星はししサインにいます。

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/b80266944db558c3def8b2e7ef56075c.html

 

 この皆既日食図をホノルルで立てると、ASCはおとめ29度、MCはふたご29度となります。ししサインは災害の第12ハウスを占めます。

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/4ea8d0b655397367df4f292361dfc6d2.html

 

 ファイアサイン強調のチャートです。てんびんの木星はエアサインにいます。しかしこの木星はヴァイアコンバスタ、焼けた小道(burnt path)です。そしてセクト的には依然として最悪の火星は、恐怖の第8ハウスのルーラです。
 ホノルル皆既日食図においては、2022年8月下旬ごろから2023年8月中旬ごろの年度代表サインはみずがめです。すると火星と日食が入っているししサインは第7番目のハウス、没するハウスになります。災害のサインはやぎサインで、やぎのルーラ土星Rいては当然にファイアサインにあり、次の正確な卦が成立します。

 火星しし20度第12ハウス △ 土星Rいて21度第4ハウス

 

 第4ハウスはその土地を示します。土星は逆行していますから、いわゆるミュウチャルアプリケーションでありガチのアプライです。細かく見ると、t火星はヴァイアコンバスタのt木星からセパレイトしt土星Rにアプライするかたちになっています。

 アスペクトが△でも災害が起きるのかというと、起き得ます。特に品位に問題がある場合はそうです。火星がいるしし20度というのは、土星はディグニティを持てない度数すなわちペレグリン(放浪)の度数です。土星がいるいて21度は、火星にとってはディグニティを持ちえない度数です。

 なお△は△であることを止めるわけではありません。土星からみて右側である火星にとってはたやすい仕事であったわけです。ファイアが異常に強調されたチャートですから、火星は文字通り“火の星”として自分の仕事をたやすく成し遂げます。

 

 さて偶然の一致というのは恐ろしいまでに正確です。

 この皆既日食図のヘッドはしし24度でした。金星はかに24度です。

 

 2023年ホノルル春分図では、ヘッドは、おうし4度第12ハウスでした。第12ハウスは災害のハウスです。避難所に囚われるイメージです。2023年ホノルル春分図では、金星もおうし4度にいました。

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/24fae35277990be78f824ee4b6922d97.html


 また、2023年ホノルル春分図では ASCふたご21度 合 火星ふたご27度 であることも目を引きます。火星ふたごと水星おひつじは、モダン占星術でいうところのミュウチャルリセプションです。強力ないし協力です。念のため付言しますとふたごは風のサインです。強風は山火事の発生原因にも拡大要因にもなります。それに、ふたごは本来的に事件事故のサインです。

 さらに事後でしか言えませんけれど、ICルーラかつ第4ハウスルーラの水星おひつじは、太陽にコンバストされています。太陽が高揚となるおひつじであっても、水星おひつじはコンバストされます。水星がコンバストされないとすると、今回の山火事、説明が困難になります。

 念のために書きます。ICルーラまたは第4ハウスルーラがコンバストされているからといって、火災が起きるとは限りません。しかし、百年の一度クラスの火災が起きたのに、コンバストがないというのは説得力がありません。コンバストすなわち燃焼はあります。

 

 次回に続く予定です。

 

end

123便

 1985年8月12日18:12、羽田(35n33, 139e47)を離陸した日本航空123便は、18時56分ごろ、群馬県の山中、通称御巣鷹の尾根に墜落しました。

 数秘術的にはどんな教訓が得られるでしょうか?
 以下チャート作成地点は羽田空港です。

 

 占星術数秘術、通称カルデア数秘術(Chaldean numerology)について考察します。

 カルデア数秘術における天体と数の対応は次の通りです。

 1 太陽

 2 月

 3 木星

 4 太陽

 5 水星

 6 金星

 7 月

 8 土星

 9 火星

 

 1985年というのは、各桁を足すと総計23で、これを数秘術的に一けたにすると5となるので、水星の年です。つまり交通が焦点となる年です、

 12日というのは、一けたにすると3で、これは木星の日です。しかしながら8月12日というのは、8+3=11→2。つま8月12日は月の影響が大きい月日です。

 5の年で、2の月日を一つの数で象徴させると、これは当然2+5=7、すなわち月の日ということになります。

 さらに1985年8月12日は月曜日です。

 

 123便離陸時のイヴェントチャートを検討します。

 ASCはみずがめ13度、MCはいて0度、ヘッドの真値はおうし13度です。

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/fdb8ba1483fca07707badebc91d1b3da.html

 

 12日を象徴する天体である木星RがASCに合のチャートですから、使えるやつ、いわゆるラディカルなチャートです、数秘術的には。

 

 交通の第3ハウスルーラ火星 合 没点DSC 合 恐怖の第8ハウスルーラ水星Rしし17度 合 太陽しし19度。

 

 没点のハウスである第7ハウスはししで、太陽は、ししのドミサイルルーラかつ第3ハウスおひつじの高揚ルーラです。このチャートで象徴される事件事故は有名化する恐れがあります。このチャートでは火星は最悪天体でありますから事件事故を危惧せざるを得ません。太陽はししのドミサイルルーラですから、火星や水星の要求を受け入れかねません。

 

 逆行しているとはいえ、最良天体の木星がASCと合です。しかしながらこの木星Rは、後退側いわゆるケイデント側からの合です。手遅れ感があります。当然、木星R オポ 火星 □ 土星の卦は気になります。しかし、このアスペクトの卦だけなら ok です。大事な用事があるのに、不吉だから飛行機に乗らないというのは心配のしすぎです。

 このチャートで本当に不吉なのは、これは一種の魔界チャートであることです。つまり蝕が起きる点であるドラゴンの頭としっぽが強く関係するチャートです。

 

 ASCみずがめ13度 □ ヘッドおうし13度

 ASCルーラ土星さそり21度 □ DSCルーラ太陽しし19度

 

 19度は魔の度数だとの説があります。1985年の春分にはヘッドの真値はおうし19度でした。離陸時のt太陽はしし19度ですから、偶然の一致にしては恐ろしい。冗談では済まない卦です。

 

 数秘術的にさんざん問題にしてきた月はふたご29度にいます。ふたごのドミサイルルーラは水星です。この水星Rは強烈にコンバストされています。ししサインの水星はししサインの太陽にコンバストされないという珍説があるらしいのですが、このチャートを見ると現実を思い知ることになります。

 123便のクルーは、機体に何が起きていたのか、最後まで理解できていなかったようです。離陸と着陸を象徴するICのルーラは水星です。その水星は逆行していてコンバストされていますから無理もない話しです。ダメ押し的に月はいわゆるヴォイドでした。月がヴォイドで、水星が逆行しているときは、一種の魔の時間です。何も起きない場合もあります。しかし、こういうときに事件が起きると絶望的に困難な状況になりがちです。

 

 123便離陸直前の満月は8月1日午前6時41分に起きました。羽田空港でチャートを立ててみると、ASCはおとめ0度、MCはおうし26度です。

 しし第12ハウスに火星、太陽&水星 オポ みずがめ第6ハウスに月と木星

 離陸時のMCいて0度 □ 満月図のASCおとめ0度

 

 満月図の木星Rは没点のDSCうおのドミサイルルーラです。t月は、t火星からオポでセパレイトし、そのt木星Rに合でアプライします。t火星は恐怖の第8ハウスルーラです。

 26度というのは、数秘術的にはそれだけでデトリメンタルな度数です。2+6=8、8は大凶星の土星の数です。26度を0度からの序数と考えると第27番目の度数です。2+7=9。9は火星の数です。つまり26度は相当に損傷的な度数です。さらに当然、おうしの26度は最凶の恒星アルゴルの度数です。

 事件事故の予想をするなら天王星をチェックしておくほうが無難です。天王星なしでもチャートを読めますけれど、天王星がダメ押しになることは結構あります。天王星は肉眼で見える惑星なので、確実に影響はあります。

 第4ハウスの天王星いて14度 クインカンクス ヘッドおうし14度

 

 この満月図では土星以外の伝統的6天体は天王星がいるいてサインを見ています。世界一の地震超大国日本では、地震か!と思えますけれど、第4ハウスで象徴される地面が急変することを象徴しています。

 

 飛行場でこういう満月図が示されたら、t太陽がししの期間中は、この飛行場から飛行機に乗りたくはないです。どうしてもというなら、ホラリーチャートを立てます。

 

 占星術は象徴システムですから一般にチャートはいつ立ててもokです。ここでは1985年の夏至の時点でのチャートを立ててみましょう。

http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/05224a75eb0abd40c8b2bde694e1833f.html

 

 水星/火星=DSC、火星はMCルーラ、どうみても事故です。事故の規模まではわかりません。

 第8ハウスの月ししと第7ハウスの太陽かには、モダン占星術でいうところのミュウチャルリセプションです。

 これは夏至図です。3か月間飛行機に乗れないかというと、心配性ならそれもokかもしれません。現実的に考えるなら、t月がマレフィックハウスを運行するときは、注意するべきなのでしょう。この夏至図でのマレフィックハウスは、ふたご、しし&いてのサインです。特に月曜日は警報レベルの注意期間です。

 

 本記事の最後に数秘術的な不思議なエピソードを一つ。

 123便というのは、数秘術的には金星便ということです。離陸時のチャートをみると、金星かに11度は、マレフィックハウスである第6ハウス(品質に問題があるハウス)にいます。離陸時のt月はふたご29度で、墜落時のt月はかに0度でした。

 離陸時のイヴェントチャートは、金星かに11度、木星Rみずがめ11度&火星しし11度で、11度強調のチャートでした。11度というのは月が管理する度数です。

 なお付け加えるなら、夏至図のASCはやぎ11度でした。夏至図のASCはやぎ11度ですから、その没点は当然にかに11度です。離陸時のt金星は、この没点にはまってしまいます。“偶然の一致”というのはまことに恐ろしいものです。

 

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Luke the Dog

 今年2023年の100年前の1923年、映画「荒武者キートン」が公開されました。以後バスター・キートンは1928年の「キートンのカメラマン」まで、表現の手段としてのサイレント映画の歴史に残る粒ぞろいの傑作を世に送り出すことになります。

 しかしながら「荒武者キートン」について記述する前に、ロスコ―・アーバックルとアーバックル夫妻が飼っていた犬について記述します。

 

 ロスコ―・アーバックルは、1910年代後半、映画界ではチャップリン並に人気があったコメディアンです。1917年、キートンに映画界入りをすすめたのはアーバックルであるとされています。またアーバックルは、キートンの兄貴分であり師匠でもありました。キートンはアーバックルの主演映画に脇役として14本ほど出演しました。アーバックルから独立してキートン自身の短編の主演作品を撮るようになったのは1920年からです。

 短編時代のキートンの二大傑作はこれです。

 

 1920年、「文化生活一週間」、One Week。キートン初の単独主演の作品。

 この映画で使われているオチは古典的なオチで、以後このスタイルのオチは映画やテレビで多用されるようになります。ネタバレ禁止なのでこれ以上は言えません。キートンには鉄道オタクな面があり、大の列車好きです。「文化生活一週間」でも列車を登場させています。

 「文化生活一週間」はキートンの短編では最高傑作かもしれません。しかしこの映画をもってキートンスタイルが確立したとは言えせん。

 

 1922年.「キートンの警官騒動」、Cops。キートン作品の古典中の古典。

 もし未見なら実に幸運です。これからはじめて見る愉しみを味わえます。

 キートンキートンスタイルを確立した作品。キートンは“大量”好き、多数好きです。この映画では大勢の警官が登場します。1925年の「キートンのセブン・チャンス(seven chances)」では大勢の花嫁が出てきます。また大量の“岩石”も登場します。同じく1925年の「キートンのゴー・ウェスト」では多数の牛が登場します。「キートンのゴー・ウェスト(Go West)」はキートンの長編のなかでは平均的な出来栄えなのですけれど、多数の牛が出てきてからの映像表現は圧巻です、キートン作品ならではです。1928年の「キートンの蒸気船(Steamboat Bill, Jr.)」では、“大量の風”がテーマです。“大量”好きのキートンの原点が「警官騒動」です。

 

 キートンの短編時代の作品をもう一本あげるとすれば、何でしょう。上記の2本は世界の古典で、さすがにそのレベルの作品はありません。しかしもう一本あげるとすれば、1920年の「キートンの案山子(The Scarecrow)」でしょう。

 どうしてかというと、当時のスター犬、 Luke the Dog (1913–1926)  が出演しているからです。三大喜劇王の一人キートンと Luke the Dog 、夢の共演!?

 

 Luke the Dog(以後ルーク) を日本語の web 記事として取り上げるのは当ブログが多分初です。

 上述のアーバックルには、女優の奥さんがいました。ミンタ・ダーフィ(Minta Durfee)です。そのダーフィが飼っていた犬がルークです。

 ルークの雄姿は、動画投稿サイトで視聴できます。当然にアーバックルも出ています。

Luke the Dog - Dog on the Piano - YouTube

Luke the Dog - Aw You Dog! - YouTube

 

 「キートンの案山子」に出演した一人と一匹だけを feature(フィーチャ)したビデオクリップもあります。

Buster Keaton - Mad dog (The Scarecrow 1920) - YouTube

 

 ルークは1913年の11月生まれです。1913年10月29日23:29JSTごろの新月はさそり5度です。

 犬を象徴する天体は何か、諸説紛々です。太陽、木星でないことはほぼ確かですが、その他の天体は、金星ですら、犬を象徴し得ます。ルークの場合、そのキャラクターからして火星です。

 火星かに19度 △ 新月さそり5度

 

 この火星はフォールですけれど、リセプションかついわゆるミュウチャルリセプションです。19度は魔の度数だとの説がありますけれど一理あります。ルークは、「キートンの案山子」では”狂”犬の役を好演しています。

 

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