☆原動力(第十天)
1927年公開の映画に「第七天国」があります。主演のジャネット・ゲイナーにとっては出世作ということのようです。ゲイナーはサイレント時代の重要な女優です。なにしろ1927年、伝説の「サンライズ」、ムルナウ監督の主演女優ですから。映画というのは一つの極論ではありますが、(グリフィス&)ムルナウの芸術という側面があります。
サイレント映画は、表現力が問われるので、どうしても芸術的にならざるを得ない面があります。トーキー以後の映画は、気晴らし、娯楽、エンターテイメントです。それを踏まえたうえで、芸術的ならなお結構かもしれません。
ゲイナーの人気のピークは1930年代前半です。1930年代前半の彼女は、マリー・ドレスラーと互角の大人気女優でした。米国人は、歌える(金星)女優(♀)が大好き(金星)なのは以前力説した通りです。ゲイナーは、1935年、シャーリー・テンプルの登場によってマネーメイキングスタートップ10から陥落し二度と復帰することはありませんでした。とはいえ彼女主演の最も有名な映画は1937年の「スタア誕生」でしょう、多分。この映画には、映画史上に残る名セリフがあります。もちろんネタはばらしません。
第7天国、占星術的にはこれ土星天国ということになります。第1を月の天(国)とすると第7はもちろん土星です。では第7の外側の第8は?。これは恒星天です。星座(←サインではない)の天とも言えます。第8の次に第9(crystalline heaven)を置き、第10をprimum mobile とする考え方もあります。本来9天までだったのを10にまで拡張したのはプトレマイオスらしい。ただし未確認情報です。
しかし占星術的には、第10天まで考えてもほぼ無意味で、第9天まででokです。すなわち第8天の恒星天の外側が第9天のprimum mobile です。Primum mobile はサイン天(sphere of the zodiac)でもあります。
Primum mobileはデボアの事典にも載っています。どちらかというと伝統寄りの用語です。これを知らなくても占いはできます。しかし知っておいても損はしません。
伝統的占星術では、地球を中心にしてこの宇宙をこのようにとらえる、そうすると占いをするうえで説明がしやすい。そういうモデルが primum mobile です。モデルは別に科学的、天文学的である必要はありません。占いをする上えでの便利なモデルの一つです。占いというのは、そのためのモデルやストーリーの“でき”がよいほど当たるようになります。
☆great orb
ベンジャミン・N・ダイクス博士著の「Introductions to traditional astrology」の28ページの figure 6 にはミスがあります。
これはプトレマイオス →マシャアラー(Masha’allah)の10天式宇宙モデルです。しかし第8天と第9天の名称が入れ替わっています。正しくは下記のようになります。
天
10th Great orb
9th ゾディアック(signs)
8th 恒星
1st~7th 月~土星
ここでいうorb(球体)はアリストテレス提唱のエーテルのことだと理解していますが違っているかもしれません。Great orb と言った場合、至天とか最高天というような意味合いなんではないかと。実質、Primum mobile と同じなんであろうと。
☆サインは最強?
サイン(ゾディアック)と星座(恒星)は別球体(sphere ないし orb)、別天です。この二つの混同的使用は許されない?間違いなので、当ブログではサインと○○座は峻別します。
サルモン(William Salmon、1644-1713)は面白いことを言っていて、サイン>星座(恒星)>天体という趣旨を本に書いています。伝統的占星術の宇宙モデルからすると一理あります。サインという区分けは占星術の原理そのもので、区分けとしては最強(至天)です。サイン-ハウス方式(全体サイン方式)が最強(最高?)のハウス分割方式である一つの根拠です。
伝説の「サンライズ」は入手困難です。だから伝説?
現状、DVDで視聴するには、この10枚組しかないようです。
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