☆“古典”とセクト
セクトは当店の看板コンセプトの一つです。
deVoreの事典にはセクトが載っていません。これは驚きです。モダン占星術の資源となった17世紀英国の占星術がセクトを軽視したからかもしれません。セクトを使わない西洋占星術は、その他の言い訳をいくらしても、もはや“古典”ではないというのが当店の理解です。ここで言う“古典”は、古代ローマ帝国源泉の正統的な占星術を継承している古代または中世の占星術のことです。
☆セクトの核心
セクトは昼と夜です。天体には昼天体と夜天体があります。チャートにも昼と夜があります。太陽が地平線の上にあれば昼チャート、太陽が地平線の下にあれば夜チャートです。原点であるセクトそのものは単純明快なコンセプトです。しかし、これが他圏や後世に伝わると微妙に複雑化します。想像と創造は人間のさが（性）。これなしに進歩はありません。一方で本来の意義や美しさが損なわれたりもします。
昼チャートは、昼天体がセクトメイツとなります。夜チャートは夜天体がセクトメイツとなります。単純ですがこれが最重要です。セクト関連のその他の技術は補助的な役割しかしません。
☆ハルブ
この言葉の意味は不明です。しかしギリシア語のセクトを中世ペルシア語に訳すときにハルブとなったと思われます。異なる文化圏へ用語が伝わると微妙に意味が変化することはむしろ普通です。
ハルブは、チャートの昼夜を問わず、昼天体は太陽と同じサイド（半球）に位置し、夜天体は太陽と反対側のサイド（半球）に位置することを言います。これと違う理解の仕方があることは承知していますが、本来のハルブはそういうことです。
昼天体は、太陽と同じサイドにあれば有利、夜天体は太陽と反対のサイドにあれば有利です。セクトのほうが優先しますが、この天体はセクト外だから駄目です、では救いがない。注目する天体がセクト内でハルブなら結構なことですし、セクト外でもハルブなら救いがあります。
☆ドメイン
ではドメインは？
これは少々ややこしい。ハルブ＋αのコンセプトです。
天体に男性格と女性格を割り当てます。男性格の天体は、太陽、水星、火星、木星＆土星です。確かにこれら５天体はすべて男神です。女性格の天体は、月と金星です。これらの２天体は女神です。
昼チャートのハルブである上に、男性格の天体がプラス（ホット）のサインにいるときドメインと言います。また夜チャートのハルブである上に、女性格の天体がマイナス（コールド）のサインにいるときドメインとなります。ペルシア占星術の考え方です。ここで問題となるのが火星（夜天体で男性格）と水星（昼夜曖昧で男性格）です。天体の昼夜と天体の性別は、関連はありますけれど似て非なるものです。ゆえに当店ではドメインは使いません。
☆ヘイズ
ではヘイズは？
これはドメインとは異なり、男性格とか女性格というのは使いません。サインのプラスマイナス（hot & cold）は使います。プラスのサインは昼天体と親和性があり、マイナスのサインは夜天体と親和性があると考えます。
昼チャートのハルブである上に、昼天体がプラス（ホット）のサインにいるとき（その天体のことを）ヘイズと呼びます。また夜チャートのハルブである上に、夜天体がマイナス（コールド）のサインにいるとき（その天体は）ヘイズとなります。ドメインとは異なり、ヘイズは一応当たる感覚があるので、当店ではヘイズは使います。ただしハルブほど重視はしません。
☆火星
火星はプラスサインでは凶意が強いですが使えないというわけではありません。火星（軍神）を火星らしくある意味暴力的に使うにはプラスサインのほうが得です。しかし吉凶からいうとマイナスサインのほうがどちらかというと凶度が低い。
鉄血宰相のビスマルクは、昼チャートで火星みずがめ第７ハウスです。第７は戦争のハウスです。七年の間に３回も敵国を設定し戦争をしたビスマルクはとんでもない戦争屋だと思われていました。火星がプラスサイン、しかも死のサインであるみずがめでなければできない芸当です。いくら話し合ってもドイツ統一などできません。それに必要なのは血の火星（戦争）なのです。
しかしながらこの火星はMCルーラであり、ビスマルクは７４歳のときに失脚してしまいました。昼チャート、プラスサイン、この火星は最悪の凶星でもあります。
74歳のサインはてんびんです。政治家にとって第5番目のサイン、ここでのみずがめは重要です。みずがめは“死”のサインです。そこにｎ火星とｎ土星がいます。
74歳のソーラーリターンのASCはかにです。おひつじが第10ハウスとなります。そこにリターンのASCルーラが入ります。ソーラーリターンの月おひつじ10度13分、ｎ太陽はおひつじ10度53分です。ソーラーリターンの火星はおうし1度であり、誕生図のｎ火星みずがめ1度とスクエアです。またソーラーリターンの土星Rしし13度は誕生図のASCと合です。
これで失脚を予言できるかといえば疑問です。しかし長い政治生活のなかでもなかなかハードな年とは言えます。ICルーラ金星のソーラーリターンはおうしでルーラーシップをとっていますから74歳という年齢を考えれば、そろそろ引退（IC）したらどうですか、という年です。てんびんは第3ハウスでもありますから回顧録を執筆するのもありです。
ビスマルクの誕生図と74歳のソーラーリターン
ビスマルクの誕生図。Rodden rating AA
ビスマルクと言えば５５歳うおサインのときのエムス電報事件が有名です。国王の電報に悪意ある編集を加えて公表したことにより普仏戦争を引き起こしました。
うおには水星（伝令神）がいます。この水星は第８ハウスでフォールですから犯罪臭がします。５５歳を管理する木星は電報のハウスであるてんびんにいます。てんびんを支配する金星は、うおから３番目のハウスおうしにいます。誕生図の第１２ハウスルーラの月やぎは、木星、水星＆金星のすべてを見ています。昼チャートですからこの月は悪意をはらんでいます。
教訓：通信に改ざんはつきものです。フランス世論がエムス電報事件に釣られたためにナポレオン３世の命運は尽きてしまうことになりました。認証は大切です。
アマゾンで4000円以下で購入できるベストのＩＣカードリーダライタ。マイナンバーカードも読めます（実験済み）。ケーブル長が約１ｍあり、地味に便利です。MACにも対応とのこと。当方が試したのはWindowsのみです。webからのドライバソフトのダウンロードも簡単です。
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