第12ハウスの秘密?

 説明の便宜上、MCは第10ハウスの始まりと同じ度数とします。。

 太陽は、当日の朝ASCの度数(#)から上昇してきて姿を現し第12ハウスを上昇していきます。さらに第11ハウス、第10ハウスを上昇していきMCに達すると下降し始めます。DSCが日没点であり、引き続き太陽は下降します。太陽がICに達すると上昇し始め、翌日のASCの度数がその日の上昇点です。

 太陽に限らず天体は、ASCの度数から上昇してきてDSCで没し翌日新たなASCの度数から上昇してきます。この1日のサイクルは、シンボリックに人間の一生に割り振ることができます。すなわち一つのタイムロードシステムとして使えます。

 1世紀のマニリウスは第12ハウス(始点&終点はASC)から始まって、時計回りに年齢域が増加し、第1ハウスで一生の終焉となるタイムロードシステムを提案しています。一つのハウスを何年間で取るべきかマニリウスは述べていません。このタイムロードシステムを推奨しているメイラ・エプスタイン女史は7年間としています。第2ハウスが76歳までで、77歳以降死ぬまで第1ハウスが管轄ということなのかもしれません。このマニリウス式タイムロードを日本に紹介したのは秋月さやかさんだと思われます(2003年)。ただこのタイムロード システムは、日本でも海外でもほとんど使われていないようです。

 

 太陽が上昇してくる第12ハウスを見えない敵のハウスとする根拠はいまひとつ不明です。もちろん第12ハウスは第1ハウスの裏側アヴァージョンではあります。表側のアヴァージョンである第2ハウス(資産)が第1ハウスを支える意味合いがあるのに対し、第12ハウスは第1ハウスの背中を刺しかねない裏切りのハウスということなのでしょう。

 

 上記のタイムロードによると、仮に一つのハウスの担当期間を7年とすると、第12ハウスは0歳から6歳までを担当することになります。0歳から6歳までの担当期間ということなら第12ハウスの秘密性について、ある程度納得できます。このハウスは最も危険なハウスです。妖怪のハウスと言っていいでしょう。

 ホロスコピック占星術が発明された紀元前2世紀ごろの古代においては、新生児、乳児そして幼児の死亡率は高かった。抗生物質やワクチンなど全くない時代です。石鹸すらない?。幼児にとって特に怖いのは、はしか。これは誰でもかかります。まさに命さだめ。子どもがはしかを乗り越えれば一安心。まだまだ油断はできないものの成人まで成長できる可能性は高い。古代や中世の占星術では、rearing(子育て)、nourishment(育成)またはupbringing(養育)は占星術の重要トピックの一つでした。偽アリストテレスの書、アブ・アリ、サール& Abu Bakr などこのトピックについて論じています。なおこのトピックの大元ネタはドロセウスです。現在我々が手にできるドロセウスは5書からなります。第1書は養育(upbringing)と生命、人生&生活のコンディションがテーマです。

 

 5月7日の東京なら 太陽 合 ASC となるASCの度数は概ねおうし16度30分。翌日の5月8日の 太陽 合 ASC となるASCの度数は概ねおうし17度28分。

 

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