ビッグフォー

 以下[   ]内の数字は生年です。

 

 サイレント映画時代の三大喜劇王(The Three Kings of Comedy)といえば、チャールズ・チャプリン[1889]、バスター・キートン[1895]&ハロルド・ロイド[1893]です。この3人のうちチャートの信頼度的に占星術の研究対象として使えるのはキートンだけです。そしてまた、占星術的にみて最も意義深い映画を制作したのは、バスター・キートンです。キートンについては後日記述したいと思います。

 本日のお題は、サイレント映画時代の喜劇の四天王、ビッグフォーについてです。ちなみに占星術ビッグスリーは、太陽、月&アセンダントです。ビッグフォーならMCを加えれば上出来です。サイレント時代のコメディアンのビッグフォーは、チャプリンキートン、ロイド&ラングドンです。

 ハリー・ラングドン(Harry Langdon)は、一応ビッグフォーの一角なのですけれど日本ではあまり知られていません。2023年㋄の時点で wikipedia には、ラングドンの日本語版の記事はありません。

 ラングドンは、1884年6月15日生まれです。生まれ時刻は不明です。しかし月はうおサインです。

 ラングドンは自分の出演作品をプロデュースするほどの成功したコメディアンです。しかしながら偉大過ぎる三大喜劇王につぐ存在とみなされるようになったのは、アカデミー監督賞3度受賞のフランク・キャプラ[1897]とのコラボレイションのおかげです。

 自身がプロデュースして主演した次の3本がラングドンの代表作です。

 

 1926年3月21日公開、初陣ハリー(Tramp, Tramp, Tramp)、監督ハリー・エドワーズ、脚本フランク・キャプラ、他2名。

 

 1926年9月19日公開、当たりっこハリー(the Strong Man), 監督フランク・キャプラの長編デビュー作。

 

 1927年3月26日公開、 初恋ハリイ(Long Pants), 監督フランク・キャプラ。ラングドン&キャプラの最後のコラボレイション作品。

 

 「当たりっこハリー」は、キャプラの監督としての長編デビュー作ということもあって、ラングドンの最良の作品ということになっています。この作品には、後にMGMの看板女優となるジョーン・クロフォード[1904]も出演しています。「当たりっこハリー」は動画投稿サイトで視聴できます。コメント欄をみると、視聴者は、ラングドンよりもむしろクロフォードのほうにより興味を示しているようです。映画的にも占星術的にもスターパワーのゆえでしょう。映画スターというのはスターだけに占星術の影響を受けやすいと言えます。

 

 さて、伝統的占星術においては相性、synastry はそれほどの得意分野ではありません。しかしモダン占星術よりはましです。生年月日が近いと、月とアングル以外は、似たようなチャートになりがちです。つまり、相性で大事なのはアングルと月、そしてライツです。これはドロセウス以来の重要な伝統です。

 フランク・キャプラの誕生図は、 Rodden rating AA ですから、ほぼ安心してアングルを使えます。

 アデンダントはうお、ICはふたご、DSCはおとめ、MCはいてです。うおとおとめに天体はありません。水星Rは、ふたご2度にあります。月はいてです。

 一方ラングドンの月はうおです。つまりキャプラのチャートのASCサインにラングドンの月が入ります。昼生まれか夜生まれかラングドンは不明です。夜生まれなら最良の相性の卦の一つです。昼生まれでも良い相性です。

 ラングドンの太陽はふたご、水星はふたご2度あたりです。ラングドンの太陽ふたごは、キャプラのアングルのサインに入ることになります。すなわちラングドンのライツは、キャプラのアングルのサインに入ります。また次の卦もあります。

 ラングドンの水星 合、同じ度数の可能性高し キャプラの水星Rふたご2度

 

 この両者のコラボレイションは長続きしませんでした。

 ラングドンの月うお □ キャプラの月いて in 第10ハウス

 

 反りが合わない卦です。キャプラと組む前からスターであったラングドンはキャプラとこれ以上組むのはやめたいと思っていたようです。つまりキャプラの演出(←月いてin 第10ハウス)はスターである自分の持ち味(月うお)を活かしていないと。ラングドンはキャプラをいわゆる“首”にしました。

 

 クビにまで行くにはマレフィックの関与は必須です。ラングドン土星ふたごは、キャプラの第4ハウスに、ラングドンの火星おとめは、キャプラの協力者のハウス(第7ハウス)に入ります。土星なら忍耐力があれば続くかもしれません。忍耐してまで続ける価値があればですが。一方火星は切ってしまいます。縁切りは火星の仕事です。

 

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