海王星人、その1

 

 本稿は長文ですし、力作?なので2回に分けて投稿します。

 

 

 アーリーモダン期以後すなわち15世紀後半以後の著名占星術師たちは海王星に特徴があることが多い。つまりアングル 合 海王星 持ちが多い。アングルの中でも特にDSC付近に海王星を持つ者が多い。

 言うまでもなくその代表は、モダン占星術の最大級の祖であるリリーです。海王星しし29度、DSCおとめ2度。

 ハーモニクスのジョン・アディは、ASC 合 海王星しし 持ちです。アディ流のハーモニクスの後継者は、史家のホールデンに拠ると日本の石川源晃氏です。石川氏は、海王星R 合 DSCしし 持ちです。両名とも実に分かりやすい海王星人です。この両名に比べれば、リリーはいわゆるアウトオブサインの海王星しし 合 DSCおとめです。一筋縄ではいかない海王星人です。

 

 20世紀の占星術に最大級の影響を与えた占星術師の一人、ディーン・ルディアももちろん海王星人です。

 ルディア: 海王星ふたご13度、DSCふたご17度。伝統的7天体のうち土星Rさそり以外はふたごサインを見ています。

  確かに、ルディアは伝統(土星)とはほぼ無縁の人です。”個(人)”の占星術の創業者とされています。チャートもこれを支持しています。ASC-DSCの軸は個のアングルであり海王星はモダン占星術特に心理占星術の星です。

 

 20世紀最大級の占星術師、コスモバイオロジーの本家、エバティン(Reinhold Ebertin)は、海王星Rふたご26度、DSCかに3度。

  かにサインのいわゆる支配星は月です。一般に月は母親を象徴します。エバティンの母親は占星術師でした。血は争えません。

 

 モダン占星術のホラリーのロングセラー本を書いたマクエヴァーズ女史はどうでしょか。もちろん彼女も海王星人です。ホラリーにおいて、海王星までは機能している、これは彼女一流の主張です。ホラリーでは冥王星が機能していないことに気づいただけでも歴史的価値があります。

 海王星がいるししサイン強調のチャートです。月しし2度、DSCしし8度、ヘッドしし13度、海王星Rしし21度。ししを管理する太陽はみずがめです。面白いのは、太陽はオポとはいえ海王星Rを見ているのに対し、冥王星Rかに in 第6ハウスとはアヴァージョンであることです。冥王星は使えないヤツ(逆行で第6ハウス)であることが示されています。

 

 現代を代表する占星術師であり、占星術界のトップクラスの物書きであるアンソニー・ルイスはどうでしょうか。彼ほどのモダン占星術界の大物が海王星ないなら占星術はインチキであることになりかねません。しかしご安心願います。彼はもちろん海王星人です。海王星てんびん5度、ASCてんびん12度。伝統的7天体のうちセクトライトの太陽以外はてんびんサインを見ています。セクトライトの太陽?。これは海王星(モダン占星術)を使う仕事は、彼の本職ではないことを示唆します。彼の本職は医師(精神科医)です。

 太陽おとめ←いわゆるミュウチャルリセプション→水星しし。

  MCはかにサイン。太陽が管理するししサインに金星、月&水星。太陽*MC。

 占星術も医術も水星(神)の管轄事項です。チャートから職業を当てるのは至難の技ですが、水星を使う職業であるとはわかります。ミュウチャルリセプションがありますから副業もやっているのでしょう。

 

 ルイスがモダン派の最大級の大物なら、伝統派の最大級の大物ジョン・フローリーはどうでしょうか。英語のwikipediaの彼についての記事の第1行目には、is a traditional astrologer とあります。伝統的占星術界の筆頭的物書きであるフローリーが海王星人ではシャレになりません。当然のことながらフローリーは、海王星 合 アングル 持ちではありません。フローリーはASCやぎサインであり、土星Rさそり17度 合 MCさそり20度です。リリーのn土星がさそり18度 in 占星術のハウス、であったことは憶い出す価値があります。これだけの情報では(伝統的)占星術師とは言えませんけれど、伝統的な何事かを職(←MC)にする人であるとはいえます。

 

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