海王星的

 海王星人について語る第二弾を公開する予定でした。しかしここは海王星らしく混迷的に寄り道をしたいと思います。

 

 海王星は語り出すときりがありません。天王星は肉眼で見える可能性があります。非常な好条件であればです。しかし海王星を肉眼で視認できた人間は人類史が始まって以来いないはずです。このように見えないものを海王星は象徴します。ゆえにある意味、言ったもん勝ち、妄想したもん勝ちです。妄想したもん勝ちのチャンピオンがブラバッツキー夫人(ヘレナ・ブラヴァツキー 、1831-1891)です。彼女は、胡散臭いという言葉が似合いすぎます。

 

 19世紀後半以後の近代神秘主義業界の最大級の大物がブラバッツキー夫人です。ご存知近代神智学の事実上の創始者です。海王星で象徴されるような大衆的オカルティズムの諸々(もろもろ)は、ほとんど全てブラバッツキー夫人から始まりました。20世紀モダン占星術の主流派(アランレオ派)は、近代神智学の一部門みたいなものです。

 ブラバッツキー夫人の誕生図は、Rodden rating C です。生年月日は確かなようです。ASCはかに22度だとされていますが、あまりあてになりません。しかしながら、どうやらこれで正しそうではあります。というのは、彼女は海王星Rやぎ22度であり、前進側からDSCと合となるからです。ASC-DSC軸と海王星との合、特に前進側の逆行海王星との合は海王星人中の海王星人、海王星の権化です。ブラバッツキー夫人ほどの超大物なら持っていて当然の卦です。

 

 ここで話しはとんで、ジョウゼフ・クレインさんについて記述します。ダイクス博士登場以前、伝統的占星術の発展に最大級に貢献した歴史的占星術師が Joseph Crane さんです。彼の誕生図の正確さは Rodden rating AA です。夜チャートでASCてんびん7度、海王星てんびん27度。以前述べたように27度は占星術の度数です。第9ハウスはふたごサインで、占星術を当然に象徴するシグニフィケータ水星いてとセクトライト の月いてはてんびんサインを見ています。なお占い師にとって最重要な月いてはいわゆるジョイのハウスです。木星Rかにと月いてはアヴァージョンではありますけれど、いわゆるミュウチャルリセプション (ミュウチャルディスポジション)です。

 n水星はいて29度なので、t月 合 t水星は、t月いてサイン運行中には成立しません。t月いて*t海王星は成立しますけれど、t水星は伝統派の牙城やぎサインに逃げてしまいます。

 クレインさんほどの重要な伝統的占星術師が第1ハウス海王星持ちなのはいかがなものでしょう。クレインさんの出発点は海王星で象徴されるモダン占星術です。しかも彼は、伝統派に転向以後もサイコセラピスト(心理療法家)でもあります。t水星やぎ □ t海王星。こういうのは、ほぼ確実にチャートに出ます。

 

 海王星を使わなくても、海王星的な人物であることを描写できます。しかし、それは相当な難業です。クレインさんの場合ならこうなります。

 ASCルーラの金星さそりは第8ハウスのルーラでもあります。第8ハウスはASCから見えないハウスです。いわゆる黄泉下りのハウスです。そしてさそりサインは、古代から有名な隠れたサイン(呪われたサイン?)です。金星は、最悪天体の土星セクトライトの月に挟まれています。n月の直前の合天体は、この金星さそりです。n月の最初のアスペクトはt月 □ t火星うお(←DSCルーラ) in 第6ハウスです。うおは海の象徴ですし、第6ハウスは療養が必要な見えないハウスです。だめ押し的にテイル 合 MCかに持ちです。かにのルーラ月はいてサインですから自身が管理するハウス=サインを見ることができません。この人は「見えないもの人」であることはほぼ確実です。果たして、n海王星は第1ハウスにいます。第1ハウスにいる天体は海王星だけです。土星までで約束されていますから海王星の影響を考慮することができます。

 

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