デシニエルズ

 今回は、デシニエルズ、リリーサー(ハイレグ)&ハウスマスター(アルココデン)などについて語ります。

 

 アルココデンは事実上“寿命星”として機能します。デシニエルズのスタート天体であるアフェタは、事実上リリーサーです。

 占星術上の概念やテクニックをどういう名称で呼ぶか、混乱を避ける意味では結構重要です。特に占星術発展途上国日本においては。だからこそ当ブログでしつこく記述してきたわけです。しかしもっと重要なのは、伝統的占星術のテクニックがサヴァイヴァル問題に使えるかどうかです。

 

 実質本邦初導入のタイムロードシステムの一つ、decennials を当ブログで紹介してきました。これ何と読むのか不明ながら、当面デシニエルズということにします。デシニエルズは、10年の繰り返しという意味らしい。厳密には10年と9か月(レベル1)の繰り返しです。デシニエルズには、レベル1(L1)からレベル4(L4)までの 長 → 短 の期間が用意されています。当たるときは当たるけれどあまりあてにならないトランジットがほぼ不要なのがデシニエルズの魅力の一つです。

 デシニエルズを使うための難所は、スタート天体(アフェタ)の選定です。Astroseekでは、アフェタの算出方法1とアフェタの算出方法2の二つのメソード(メソッド)が用意されています。ゆえに選定作業の困難さは相当程度減りました。しかしなかにはユニークなチャートもあって、アフェタがはっきりしないようなものもあります。そのような場合でも、セクトライトまたはアフェタをスタート天体とするデシニエルズは、ある程度の傾向を示します。大概のチャートは、セクトライト=アフェタ1=アフェタ2 です。

 デシニエルズの仕組みを詳しく説明するのは困難ですし当ブログの任務でもありません。消化の仕組みや料理のレシピを知らなくても食事はできますし味わえます。

 ではさっそく一例を“味わって”みることにします。

 

 ここでは1931年2月8日生まれのジェームズ・ディーン(James Dean)の1955年のデシニエルズをみます。ディーンは、Rodden rating AAですし、1955年9月30日に24歳で事故死していますから、占星術の最重要任務の一つであるサヴァイヴァル問題的には重要なチャートだと言えます。

 ディーンの誕生図は、ネットに多数載っています。たとえばここです。

https://www.astrotheme.com/astrology/James_Dean

 

 モダン占星術では、事故は月と火星の関連または火星と天王星の関連です。ディーンの誕生図には次のかたち(象、卦)があります。

 n火星Rしし2度25分 □ n月さそり5度44分

 

 ホールサインハウスでは月は第8ハウスです。ディーンは持って生まれた事故死運を持っています。そういう緊張感を出せる人です。当ブログで何度も強調しているように、ハウス分割はホールサインハウスを使えば解釈が楽です。名人芸的な解釈や心理(学?)的解釈に頼る必要がありません。直截的に事柄が象徴されます。

 n天王星はnASCとタイトな合であり、火星が管理するサインであるおひつじにあります。アングルと合の天体は無視することが困難です。

 自動車事故が起きたとき、n火星Rしし2度25分 合 t天王星1度39分しし でした。

 

 土星までの7天体で判断するならどうでしょうか。

 t土星さそり18度 □ n太陽みずがめ18度

 t火星おとめ22度 コントラアンティション t太陽てんびん7度

 t太陽てんびん7度07分 □ nMCやぎ6度30分

 

 誕生図に対するトランジットだけの予測ですと、伝統がモダンより優れているとは言えないでしょう。t土星 □ n太陽は、n太陽がみずがめ18度生まれの人に共通で、そういう人達は100万人はいたことでしょう。ディーンの場合、t土星は、誕生図の死のハウスにインなので不吉ではありますが、100万人のうちの約12人に一人は、そうなります。

 伝統的占星術ではトランジットを無視はしませんが、あまり重視しません。トランジットは後付けには便利ですし、天体の象意を確認するのに非常に有用でもあります。しかしトランジットでの事前予測は困難です。

 では何を使う?、もちろんプロフェクション&ソーラーリターンです。

 しかしデシニエルズでも結構いけます。

 

 ディーンの場合、セクトライト、アフェタ1、アフェタ2、いずれも太陽です。ゆえに太陽をデシニエルズのスタート天体とすることができます。なお、当方の考えでは土星やぎもしくは木星Rかにがスタート天体です。両者のうちのどちらでしょうか?、これは超難問です。恐らくは第4ハウスでICと合となっている木星Rが最適のスタート天体です。特にロットオブフォーチュンがいてサインの29度で正しいならです。ディーンはその“寿命”(←アルココデン)の在り方によって永遠となりました。ゆえに恐らくロットオブフォーチュンは第9ハウスいてサインなのでしょう。

 しかしここでは太陽をスタート天体とします。それでもokなのがタイムロードシステムの面白いところです。

 レベル1(L1) 1952年4月18日~ 火星RがL1期のタイムロードになりました。

 レベル2(L2) 1955年8月 1日  金星がL2期のタイムロードになりました。

 レベル3(L3) 1955年8月15日~10月10日 土星がL3期のタイムロードになりました。

 レベル4(L4) 1955年9月18日 火星RがL4期のタイムロードになりました。

 レベル4(L4) 1955年9月25日 月がL4期のタイムロードになりました。

 レベル4(L4) 1955年10月6日 金星がL4期のタイムロードになりました。

 

 まとめると、1955年9月30日のディーンのデシニエルズによるタイムロードは、

 L1 ASCルーラ火星Rしし第5ハウス

 L2 DSCルーラ金星やぎ第10ハウス

 L3 MCルーラ土星やぎ第10ハウス

 L4 ICルーラ月さそり第8ハウス

 

 L2の金星は、この時期、職業的に成功することを示しています。ディーンはn金星 合 nMC持ちなので。ただし対人関係での成功かもしれません。例えば気になる人とデートしたとか。

 L3が土星となった8月15日以降は要警戒期です。二つの凶星が同時にタイムロードとなるのは不吉です。事故が起きるとすれば、9月18日~10月6日です。この期間は自重すべきです。暴走すると命がけとなります。

 

 結果的には、t火星おとめ22度とt太陽てんびん7度が運命的なコントラアンティションとなった時期に出合い頭の衝突的避けがたい運命的な自動車事故が起きました。n火星RはディーンのASCルーラです。n太陽はディーンのリリーサーすなわちハイレグです。n太陽みずがめは男性格のサインであり、かつ男性格のクワドラントにいますから、アブ・アリの教えるところによればリリーサーとなり得ます。n太陽のバウンドルーラをアルココデンだと仮定すると、それはn木星Rかに第4ハウスです。

 

 ところで突然ですがここで臨時ニューズです。

 1955年9月25日から月がL4のタイムロードです。タイムロードの天体のトランジットはイヴェントの生起を示します。しかし例外はt月です。動きが速すぎて、月のトランジットで物事を予測するのは現実的ではありません。月がタイムロードとなる場合、例えば直前新月図を使います。1955年9月の新月は、カリフォルニアでは15日の22時19分ごろです。その新月は、おとめ22度で起きました。新月図の金星はおとめ26度です。我々は、この新月の度数を覚えておきましょう。新月は終了と誕生です。ディーンの生命の終了と新たなる伝説の誕生を象徴します。

 

 自動車事故が起きた時、t火星はおとめ22度でした。

 新月図の新月おとめ22度 合 t火星おとめ22度

 おとめ22度は、誕生図の不運の第6ハウス

 新月図の水星はてんびん18度。n土星やぎ18度、n太陽みずがめ18度、t土星さそり18度。

 なお事故時のt月はおとめの対向のサインのうお26度あたりにありました。。うおサインは誕生図の第12ハウス(←“闇討ち”)です。うお26度は新月図の金星とオポの度数です。オポは分離のアスペクトです。生身の俳優(金星)としてのキャリアは終わります。

 

 モダン占星術の“太祖”リリーのn土星は、さそり18度第9ハウスであることは思い出す価値があります。さそり18度の土星は、土星で象徴される事柄によって占星術の発展に貢献できる度数です。

 

 これで臨時ニューズを終わります。

 

 ディーンの出生地でこの直前新月図を立てると、サヴァイヴァル可能な助言ができます。ASCはかにサインです。火星、新月&金星が第3ハウスおとめです。MCがおひつじ、ICはてんびんです。火星、月&金星はアングルのルーラです。仏の顔も三度まで、三役そろい踏みです。三役そろい踏みがなされたのに、立行司の庄太郎もしくは伊之助が千秋楽の結びの触れで「千秋楽でこざりまする」と告げないことは通常ではあり得ません。すなわちアングル絡みなので起きないとはとても言えません。ほぼ確実に何事か起きます。第3ハウスを代表する事件事故と言えば、兄弟げんかまたは交通事故です。ディーンに兄弟はいませんから恐らく交通事故です。デシニエルズのL4の月がタイムロードとなった9月25日~10月6日の期間はクルマの運転を控えるべきです。

 

end