本日は、太陽の熱線(Sun’s rays)について記述します。
太陽から度数的に16分以内もしくは1度以内はカジミ(cazimi, 心中)です。9世紀のサール(Sahl)は天体の強さの10番目にカジミ(in the heart)を挙げています。しかしながら以下の記述ではカジミは無視するものとします。
太陽の位置を起点に太陽から7.5度までを特にコンバスト(より適切には burned up)と言います。同じく7.5度から15度までがアンダーザレイ(under the rays)です。また太陽から15度までを単にアンダーザレイと言うことがあります。
上述のサールは、under the rays と burned すなわちコンバストを一般に併記します。例えば有名な50のアフォリズムの29番目の記述。しかしながらアンダーザレイを単独で使うこともあります。この場合、多分コンバストを含む太陽から15度までのゾーンのことを言っているものと思われます。たとえばサールは、イントロダクション(the introduction)で天体の強さを11項目ほど、天体の弱さを10項目ほど挙げています。天体の弱さについての3番目の記述にアンダーザレイのみを挙げています。一般に大は小を兼ねます。
太陽から7.5度から15度までのアンダーザレイのゾーンに水星の好例が古舘伊知郎さんです。
元テレビ朝日アナウンサーでプロレスの実況で有名だった古舘󠄁伊知郎さんは、東京都北区出身、1954年12月7日生まれです。その誕生時刻と誕生地は不明です。
出生前新月はいてサインの2度です。この新月図には次のような特徴があります。
土星さそり14度、水星さそり16度、金星Rさそり16度。火星みずがめ23度。
火星(soldiers, 闘士)はさそりのドミサイルルーラであることを推定させる好例と言えます。
古舘さんは、子どもの頃、外人プロレスラーの名前を200人以上記憶していたとされるほどのプロレス“オタク”です。プロレスといえば当然に火星が気になります。
土星は、いわゆるヴァイアコンバスタです。土星さそりと火星みずがめがは、モダン占星術でいうところのミュウチャルリセプションです。火星みずがめ23度の夜トリプリシティルーラは、当然に予想できるように水星(←喋り)です。また、この火星はタームのディグニティを得ています。仕事ができる火星です。
古舘さんは少なくとも1954年生まれでは日本を代表する有名人の一人ですから、東京新月図を使えます。1954年12月7日直前の新月図を東京で立てると、夜チャートで、アセンダントはししで、木星Rかに29度は第12ハウスに入ります。ということはt月が唯一アプライする天体は火星みずがめ23度だけです。東京ではこの火星はアングルのハウスでアドヴァンシングです。つまり日本国においてプロレスの実況の仕事させるにはうってつけの新月図であることがわかります。これからすると、この新月図の星のもとに日本で生まれた方々は、火星系のアナウンス系の仕事以外は、ミスキャスト感がぬぐえません。
ちなみに、1954年東京春分図ではアセンダントはかに29度です。第3ハウスおとめで、木星ふたごと水星うおはミュウチャルリセプションです。第3ハウスやふたごサインで象徴される分野での逸材が生まれることを示唆しています。
この東京新月図では、第6ハウスはやぎであり土星は最悪天体であることは記憶しておく価値があります。また第8ハウスはうおですから、木星が“恐怖の王”です。
さて、このような新月図の制約下のもと、1954年12月7日の昼12時のチャートは次のような感じになります。このチャートにはハウスが描かれていますけれどハウスは無視します。
http://www.horoscope-tarot.net/horo/s/32eb0aab418852e335fdb1d1b172b6b9.html
古舘伊知郎さんには6歳年上の姉がいました。この生年月日で日本生まれならn月はおひつじかおうしですけれど、もしn月が姉を象徴しているのだとすれば、多分n月はおうしです。しかし断定は無理です。n月がおひつじとすると、n火星もn土星もn月を見ていません。どうも事実とあわないようです。n月がおうしなら、二つのマレフィックはn月を見ています。特にn土星はn月に対してオポジションですから非友好的です。
新月図ではヴァイアコンバスタだった土星はヴァイアコンバスタを抜けています。新月図では逆行していた金星みずがめ14度はヴァイアコンバスタです。つまりおうしを管理する金星はどうも頼りない。月(姉?)にとっては不利です。逆に土星はマレフィックとしての本領を発揮しやすい。
1991年3月、古舘伊知郎さん36歳のときに姉がガンで他界しました。このときt木星Rはししサインの3度あたり、t土星はみずがめサインの3度あたりを運行していました。古舘さんのn月がおうしだとすると一応説明がつきます。
上述の新月図では土星は第6ハウスルーラ、木星は第8ハウスルーラであったことは要チェックです。占星術では由来や由緒が大切です。
さてここからが本題です。1954年12月7日生まれの人は、太陽いて14度、水星いて4度です。水星はいわゆるデトリメントです。さらに水星はコンバストではないもののアンダーザレイ(under the rays)です。このような卦持ちの人がアナウンサーを目指すというのは如何なものでしょう?
中世なら、こういう生年月日で水星系の仕事をするのは不利です。チャートの全体にもよりますが。しかし現代は、 anything goes な時代です。アナウンス仕事も忠実に伝えることよりもパフォーマンスが重視されるかもしれない時代です。特に、水星&太陽いてで、太陽がセクトライトなら太陽は昼のトリプリシティルーラでもあるので、水星系の仕事をするならスター性はほぼ約束されています。
ただし、「1954年の東京春分図のASC 合 誕生図のn木星」の卦がなかったら、古舘さんほどの成功は恐らく困難です。もちろんチャートと本人次第ですが。
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