アンドレ・バルボー

 20世紀フランス最大の占星術師は、ロシア出身でフランスに移住した Alexandre Volguine(1903-1977) です。モダン占星術のソーラーリターンは、Volguine の技法の影響を相応に受けています。

 この Volguine につぐ偉大なフランスの占星術師が、アンドレ・バルボー(Andre Barbault, 1921-2019)です。史家のホールデンによると、バルボーの専門は、心理占星術とマンデン占星術だとのこと。バルバーには英語版からの邦訳書もあります。

 

 プラネタリー・サイクル、アンドレ・バルボー著、辻一花,金松香魚子訳、太玄社、2022。

 

 ソ連崩壊、リーマン・ショック、コロナ・パンデミックウクライナ紛争を的中させたことがバルボー本のウリのようです。ただ、占星術の法則で的中させたというより、バルボーの運と勘で当てたというほうが適切です。バルボーほど運がよくない占星術愛好家が真似できる芸当ではありません。

 占星術上のあるサイクルなりある卦を予測したときに、実際何が起きるか当てるのは、ギャンブルです。同じ卦をみても、予想を試みる占星術師の数だけ“予言”はあります。

 

 1921年10月1日、17:00、    Champignelles, France, 47n47, 3e03生まれ。バルボーの誕生図の Rodden  rating は AA です。昼チャートであり皆既日食直後の生まれです。常人には不可能な勘の良さがあります。新月の生まれということは、ロットオブフォーチュンは、ASC軸と合になります。

 

 ASCみずがめ26度 合 ロットオブフォーチュンみずがめ28度

 

 占星術、予言、透視のハウスは第9ハウスです。バルボーの場合、100年に一人クラスの第9ハウスを持っています。

 てんびん第9ハウスに、木星、太陽、月&ヘッド。

 

 木星は希望の第11ハウスルーラかつMCルーラです。

 

 ギャンブルの第5ハウスはふたごで、ふたごにはICの軸が刺さっています。

 

 水星さそり第10ハウス いわゆるミュウチャルリセプション 火星おとめ第8ハウス

 

 第9ハウスはてんびんで、そのドミサイルルーラは金星です。伝統的占星術では定番すぎるテクニック、金星のトリプリシティルーラを検討してみましょう。

 

 金星はおとめ第8ハウスにいます。金星はフォールなので、なるほど、という感じです。フォールというのは、質、この場合は彼の占星術の質を示唆はしますけれど、フォールだからと言って使えないわけではありません。

 金星おとめの昼のトリプリシティルーラは金星です。水星*金星であり、バルボーのチャートでは水星も金星も占星術関連の天体ですから、17歳から占星術の道に入ったのはうなずけます。

 金星おとめの夜のトリプリシティルーラは月です。月は、占星術のハウスに入っています。占星術が一生の研究課題となります。

 

 バルボーのチャートで面白いのは、てんびん第9ハウスが土星おとめと水星さそりに挟まれていることです。

 土星おとめ29度{第9ハウスの木星、太陽、月&ヘッド} 水星さそり2度

 

 土星はASCルーラです。水星はギャンブルの第5ハウスルーラかつICルーラでした。

 

 ギャンブル色が強い作品、典型的には当たったと宣伝している作品を評価するには、その作品を創造した人間の誕生図をチェックすべきです。平均的な運持ちの占星術愛好家が真に受けるのはリスキーです。

 

 ところで、ババルボーの誕生図の冥王星はかに10度です。すると次の卦が成立します。

 

 冥王星 6分差の□ 月てんびん9度

 

 アプライのガチのスクエアです。一応リセプションではあります。冥王星が効いているのか効いていないのか不明です。もちろん当ブログでは冥王星は通常個人には影響しない立場です。しかし予言が当たったと(宣伝されると)なると、その真偽はさておき、通常外の事象です。

 バルボーは皆既日食の日の生まれでした。つまりこの地球が魔界化したときの生まれです。本人は意識できなくても地下(無意識)では冥王星が効いているのかもしれません。第9ハウスの月で象徴される彼の占いは、(先祖伝来の?)勘のたまものなのでしょう。

 

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