西洋占星術

☆傾向

 西洋占星術の歴史はモダン化の歴史です。

 インド占星術の歴史はインド化の歴史です。インドは、インド化は著しいものの西洋ほどモダン化はしていません。伝統を律儀に守っています。

 

☆モダン化の産物

 西洋のモダン化の代表例がハウスシステムです。アーリーモダンの開祖的人物は、西洋占星術史上屈指の天才レギオモンタヌスです。アーリーモダンは、レギオモンタヌス(ハウスシステム)から始まりました。

 周知のように、種々あるハウスシステムは、モダン化の産物です。古典(化の産物)ではありません。ハウスシステムの開発者の数だけハウスシステムはあります。人気があるハウスシステムは、レギオモンタヌス、プラシーダス、コッホなどです。ホールデンが指摘しているようにどれも根拠はありません。あるのは好みや人気です。ただ占星術師とハウスシステムの間に相性なるものは確実にあります。だから自分に合うハウスシステムを使うことが肝要です。この辺が占いの胡散臭いところです。個人の実践(実占)を普遍化、一般化することが非常に困難なのです。この知見(普遍化困難性)は20世紀モダンに拠ります。心理占星術が流行ったのも無理からぬところでしょう。実践ですらあてにならぬのなら残るのは願望や妄想です。

 有名占星術師の名人芸的テクニック、ハウスシステムもその一種です、を真似しても当たるとは限りません。当たらないとも言えません。それは運次第です?。

 

 古典といってもokなマシャアラーやサールは、レギオモンタヌス(ハウスシステム)を知りません。もちろんリリーやプラシーダスを知りません。ボナッティ以後の西洋占星術はどうもモダン臭い。アラン・ホワイトは、ルネサンスの暴徒と表現していました。15世紀以降伝統が暴徒によって破壊されてしまったのです。特にケプラー以後モダン化が急激に進みました。最も由緒正しいハウスシステムが何であったか忘れさられました、まるで20世紀モダンがそうであったように。

 ホラリーの達人サールは、そんなモダン化の産物である昨今流行りのハウスシステムを使わなくても占いができました。宮廷占星術師を勤めることができました。ボナッティ以前のホラリーの最重要資源がサールです。以後のホラリー占星術の歴史はサールの解釈の歴史みたいなものです。もちろんリリーもです。ただしボナッティやリリークラスになると独創力も凄い。だから古典であるサールに還れ。一理あると思います。しかしこれは好みの問題です。モダン(臭いホラリー)をやりたい人に、それを禁止することはできません。上記したハウスとの相性の問題もあるので、モダン化の産物である流行りのハウスシステムを使った方が当たると感じる人が出てきてしまうのは仕方ありません。

 

 

 個人(個々の読者)の実践重視を強調する代表的ホラリー本。この本からヒントやアイデアは得られます。しかし当たるか当たらないかは結局は運次第(勘次第?)、そう思わざるを得ない名著にして迷著。

 著者の Lehman 女史の誕生図(Rodden rating AA)は、夜チャートで最良天体は金星です。MCおうし、著述の第3ハウスてんびん。金星しし第1ハウスは第3ハウスてんびんを見ています。第3ハウスには海王星土星(最悪天体にしてイグザルテイションルーラ)がいますから名著かつ迷著を書ける逸材であることを象徴しています。なお月おとめがいわゆるvoidでてんびんサインへ向かっています。伝統の7天体までで約束されているなら海王星を持ち出してもokです。持ち出さなくても理屈付けはできますが。例えば、このチャートでは金星いわゆるペレグリン(放浪者)です

 なお女史の誕生図はASC 合 火星→第9ハウスおひつじ。Martial art なるタイトルは出来過ぎです。

The Martial Art of Horary Astrology

The Martial Art of Horary Astrology

  • 作者:Lehman, J. Lee
  • 発売日: 2002/09/30
  • メディア: ペーパーバック
 

 end