当ブログで最も重視するのはチャート読み、チャートの表現方法、いわゆるデリニエイションです。占星術の実践家にとって最重要課題はデリニエイションです。全てはそのための準備みたいなものです。百の教養より一の使えるマテリアル、です。なお有識者志向なら教養が大事なことはもちろんです。
デリニエイションに大いに使えるマテリアルの代表が、セクト、ホールサインハウス &エセンシャルディグニティズ(品位システム)などです。
英語には material という便利な使える用語があるのですけれど、これをどう訳すべきか不明です。材料と訳すのが無難かもしれません。マテリアルなる用語には占星術のデリニエイションに使える道具という意味も入っている感じかもしれません。
品位システムのような起源が不明のマテリアルは、一旦鵜呑みでok、これが当店の基本的スタンスです。伝統は継承されてこそです。下手な個人的意見よりは鵜呑みの方がずっと有用です。ただし”上手な”個人的意見は新たな伝統となることはあり得ます。その代表例がリリーです。リリー以前とリリー以後では占星術界特にホラリー占星術界は違う世界のようです。
エセンシャルディグニティズの起源は不明です。特にターム。タームほどでないにしてもエグザルテイション(イグザルテイション)の起源も不明です。後付けの理屈付けはいくつかあります。デリニエイションに使える理屈付けなら歓迎です。
占いというのは、システムを決めると当たるようになります。当たっていると感じるだけなのか、客観的に当たるような部分もあるのか永遠の謎です。面白いのはゴークランセクタ。面白いほど当たります。当たるように感じるだけなのかもしれませんが。占星術オタクであったゴークランが集めたデータは選択バイアスがあったとの疑惑があります。疑惑の真相がどうであれ、立派なシステムを決めると当たります。この人間世界は、いわば一種の魔界で、そういう風にできています。
システムが説得力があるほど、より当たるようです。それゆえ後付けの合理化(理屈付け)は重要です。使える占いのテクニックはその理屈付けによるところが大きいからです。ちなみに神話も理屈付けの一種です。神話で説明したくなるほどのシステムなら占いとして使えます。神話が心理学のリソースとなるのも同様の理屈なのでしょう。
占星術なる象徴体系の横綱クラスの理屈付けは、サインのルーラーシップであるソーラーハーフとルナーハーフまたはテーマムンディ(the Thema Mundi)です。これは完璧すぎてこれ以外のルーラーシップはナンセンスにするほどの威力です。
イグザルテイションの起源は不明ですけれど、古代の7天体が高揚となるサインの割付は完璧です。結果的には伝統は正しかった。
各天体の高揚サインは、サインルーラをオーバーカミングするサイン(サインの国王)です、木星と水星以外は。そういう風に決めたわけではないのですけれど、結果的にそうなった。
オーバーカミングなるコンフィギュレイションは、エレベイション(elevation)であり、上から目線です。つまり一種のイグザルテイションです。
ドライな太陽しし 右サイドからの△ おひつじ→太陽の高揚サイン。
おひつじはリボリューションのサイン。
モイストな月かに 右サイドからの* おうし→月の高揚サイン。
おうしは地母神のイメージ。
モイストな木星うお 左サイドからの△ かに→木星の高揚サイン。
かには増殖するイメージ。伝統的占星術では木星が子ども(宝)を象徴することがあります。
木星はルーラシップサインの方が高揚サインをオーバーカミングしています。理由は不明です。
理屈からいけば、さそりが木星のイグザルテイションサインであるべき。しかしさそりは呪われたサインなのでこれは無理がありすぎます。The Thema Mundi の第1ハウスはかにサインのゆえかもしれません。
ドライな土星やぎ 右サイドからの□ てんびん→土星の高揚サイン。
てんびんはバイアコンバスタ開始のサイン。唯一の生命体ではないサイン。
ドライな火星おひつじ 右サイドからの□ やぎ→火星の高揚サイン。
やぎは建設(高み)のサイン。
モイストな金星おうし 右サイドからの* うお→金星の高揚サイン。
うおは自堕落のサイン。
うおサインは、大吉星の木星が管理し小吉星の金星が高揚となるサインです。これほどまでに甘美な堕落しやすいサインは他にありません。
マレフィックは、当然□でオーバーカミングします。オポジションはオーバーカミングできないアスペクトなのでここでの理屈付けには使えません。マレフィックでない男性格の天体は△(木星的アスペクト)で、同女性格の天体は*(金星的アスペクト)でオーバーカミングします。
水星はドライなのかモイストなのか不定です。なのでミュータブルサイン(柔軟サイン)で高揚となるはずです。いてとうおは、水星が管理するサインの対向いわゆるデトリメントです。ゆえに水星が高揚となるのはふたごかおとめです。昼チャートの水星はふたごで高揚となるという説があります。一理ありますが、ここは伝統に従って昼夜を問わず水星はおとめで高揚としておくのが無難です。
ゾディアックの12サインのうちてんびんは唯一生命体でないサインです。死のナチュラルシグニフィケータである土星が高揚となるのは一理あります。なおみずがめは、みずがめを持つ少年ないし老人です。器物ではなく生命体です。
イグザルテイションの理屈付けは大関クラスの強さがあります。つまりイグザルテイションなるマテリアルは使えます。名誉、栄光、尊敬などの要素を占うのにイグザルテイションのルーラーシップの検討は欠かせません。
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