エレフセリアディス版「ホラリー占星術」

 2022年3月、Petros Eleftheriadis 著、Horary astrology の日本語版「ホラリー占星術」が太玄社から刊行されました。Eleftheriadis 、これを何と読むべきか、当ブログ的には永らく謎であったのですけれどエレフセリアディスと表記するらしい。

 英語の原書のページ数は145で価格は20ドル。日本語版のそれは267で、価格は2300円(税別)です。日本語版はページ数のわりにはお値打ちなのかもしれません。

 当ブログはネイタル占星術を主として扱います。しかしホラリーの技術なしに、チャートを読むことは困難です。誕生図、リターン図、ホラリー図、代表的マンデン図である春分図(Aries ingress 図)、実は、あるいは当たり前か、これらはある瞬間におけるトランジット図です。本質はすべてトランジット、当たるも八卦、当たらぬも八卦です。チャートは目的ではなくツールなので、トランジット図にどんな呼び名をつけようが本質的な部分は同様です。一方、呼び名がつくということは、その呼び名ならではの相応のいわゆるローカルルールが通用します。何がローカルで何が普遍的かは簡単には述べられません。たとえばホラリーにおいてもセクトは明らかに有用ですけれどネイタルほどは重要ではありません。

 

 占星術システムという象徴哲学体系はそういう本質なので、ネイタルをやるにしてもホラリーの本は必要です。日本語の書籍限定なら、ルイスのホラリー占星術とこの「ホラリー占星術」は、本格的占星術を楽しみたいなら、必読の2冊です。

 ルイス版は参考書としては最適な部類です。ホラリーは言うまでもなくネイタルに必要な情報も満載です。エレフセリアディス版の「ホラリー占星術」は、ホラリーの最適な教則本です。ホラリー図はトランジットなので、博打的要素をぬぐい切ることは困難です。それでも「ホラリー占星術」のやり方を学べば、相当の確度でイエスノーの軍配を挙げることができます。ホラリーの目的はイエスノーに答えること、いわば軍配を挙げることです。その点を、この本で述べられているプロセスのレベルまで明らかにしたのは、恐らく業界初です。

 

 本格的占星術を楽しみたいなら、「ホラリー占星術」は必読と言えましょう。

 

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